今日は、俺の誕生日。
だから、彼奴に言う。絶対に。
今日だから、言おうと決めた。
とは、隣のクラス。
知り合ったのは、大野から、紹介された。
どこにでもある様な出会い。
初めは、大野の親友程度。
それ以外に、何も感じはしなかった。
それに、興味もなかった。その時は。
だが、紹介されてから、少し経ったある日。
街で、偶然に出会った。
本当に、偶然だった。
その時のは、何か悩んでいる様子だった。
話し掛けてみると、彼氏にやるプレゼントを選んでいるとか・・・・。
真剣な、瞳。
真剣に、悩んでいるを可愛く思ってしまった。
俺は、その男が羨ましかった。
何故だかは、分からない。
だが、妬ましかった。どうしてなんだろうか?
だが、数日後。
は、別れていた。その男と。
一体、何があったのだろうか?
に、聞こうと思った。
だが、俺に、聞く権利があるか?聞いて、何が出来るんだ?
何も、出来ない。
俺は、慰め方を知らない。どうしたらいいのか、分からない。
は、普通に過ごしていた。
前と変わらずに。変わらない日常を。
ただ、変わった事は、男が居ないだけ。
大野から、聞いた。
別れた原因を。どうやら、振られたらしい。
あの、を・・・・振った?
その男は、馬鹿だ。
絶対に、後で後悔する。俺は、そう感じた。
は、お前みたいな男に勿体ない。
会った事もないが、その程度の男だと感じる。
俺だったら、を振るなんて事はしない。
あんなに、相手を想ってくれる人間なんて、そうそういなぜ?
人間、感情は日々変化する。
だから、変わらないものはない。
だが、俺のへの想いは・・・・変わらないと、信じたい。
が・・・・好きだ。
漸く分かった。
俺は、が好きだったんだ。
「跡部、誕生日おめでとう。」
「跡部君!!誕生日、おめでとう!!」
「あぁ、サンキュ。」
そう、今日は、俺の誕生日。
俺が、この世に生を受けた日。
皆が、俺を祝ってくれる。それは、それで嬉しい。
だが、俺が本当に祝って貰いたいと思うのは、唯一人。だけ。
に祝って貰いたい。は、きっと、屋上にいるだろう。
彼奴は、あの場所が好きらしい。
以前、そんな事を言っていた。
だから、今日もきっといる。
俺は、そう信じて、屋上へと向かった。
「。」
俺は、愛しい彼女の名前を呼ぶ。
丁度、去年の誕生日。
確か・・・・の誕生日だったか。俺が、告白した。
この場所で。
それは、今日の様に晴れた空。
蒼く澄んでいて、とても綺麗だった。
「景吾・・・・。」
は、俺の方を向く。
手には、何か・・・・包みを持っていた。
それは、きっと・・・俺にくれる為に、が選んでくれたプレゼントだろう。
「お誕生日・・・おめでとう。」
は、微笑んでくれた。
嬉しかった。やはり、最愛の人から言われる祝いの言葉は、嬉しい。
他の誰に言われるよりも、心に響く。
「あの・・・・ね。悩んだんだけど。これが一番かなって思って。」
は、俺に手に持っていた包みを渡してくれた。
何だろう・・・。
開けたいが、は、“駄目だ”と言うだろう。
これは、後の楽しみにしておくとするか。
「。お前から、キス・・・してくんねぇの?」
「う・・・・しなきゃ駄目な訳?」
「当たり前だ。今日は、俺の誕生日だぜ?その位当然だろうが。」
照れている、を俺は愛しいと想う。
どんなも、好きだ。
そんな事を、考えていると、が背伸びをして、キスをしてきた。
「んっ・・・・・・・・・。」
俺は、の腰に手を回し、深く口付ける。
その行動を、予測していなかったは、ビクッと反応したが、次第に俺に合わせてくる。
あぁ、。
俺は、今日、お前に言いたい事があるんだ。
これだけは、言わないといけない。
何故ならば、俺が、今日が良いと決めたから。
だが、今は、お前の唇の感触を味あわせてくれ。
話は、その後だ。
それでも・・・・良いだろう?
きっと、お前も喜んでくれる。俺は、その光景が、目に浮かんでいる・・・・。