「跡部ー!!!!」
最恐
岳人が、俺の元にやってきた。
何を、そんなに慌てているのか。
何故、そんなに息を切らせてやってきたのだろうか。
「どうしたんだよ。」
「あ、ああああああ・・・・・跡部!!!」
人の名前を、吃らせるんじゃねぇよ。
評価が、下がる。
確実に、下がるじゃねぇか。
「落ち着け。岳人。」
「お、おおおお落ち着けるかぁぁぁぁ!!!!!」
「うるせぇなぁ・・・お前。俺様を見ろ、こんなに落ち着いているだろ?」
「いや、きっと知ったら咆驚すると思うぜ?実はな・・・・。」
岳人は、俺の耳元で囁く。
俺としては、こういう趣味はないんだがな。
寧ろ、普通に教えてくれ。
その方が、何万倍マシか・・・・・。
「何ぃ??!!!!」
岳人の、言った通りだった。
確かに俺は、驚いてしまった。
こんなに驚いたのは、何時の日だっただろうか。
「・・・が・・・・・?」
「そうなんだよ、お前のファンクラブに連れていかれた!!」
「チッ・・・・・馬鹿が・・・。」
俺は、慌てて教室を出た。
こうしちゃいられない。
早く、の元に行かないと・・・・大変な事になる!
「・・・・・・・・・ちょっと。」
「何か?」
「どうして、本なんか読んでんのよ!」
「読みたいからです。貴女達こそ、どうして体育館の裏なんて、べたでベタで下手な場所過ぎる場所に連れて来たんです。」
体育館の裏。
何故か、その場所に私はいる。
本当は、教室で静かにしていたかった。
けれど、どうやらそれを許してくれそうにもない。
二十人以上の女が、私の元にやってきたから。
全く・・・・ピーチクパーチク煩いといったら・・・・。
「景吾様と、別れなさいよ。」
「また、それですか。飽きない人ですね。しかも、奴を“様”付けで呼ぶなんて・・・・。」
私だったら、嫌でも呼ばない。
今だって、名前を呼んだりしない。
強要されたって、断固拒否する。
「さて。本も読み終わったし・・・・どうせ、殴りたいんでしょう?
大人数で纏まらないと、弱いのね。情けない。一人でこれない癖に・・・・案外、度胸ないのね。」
「な、何ですってぇ!!!!」
数人の女が、私に襲い掛かってくる。
全く、情けない。
くだらない。
馬鹿げているわ・・・・・。
「・・・・・・遅かったか。」
「そうね。」
体育館の裏。
俺は、辿り着くのが遅かったらしい。
その場所には、一人の女が立っていた。
女は、制服に付いた汚れを払いながら、本を読んでいる。
傷なんが、一つもない。
怪我なんて、論外だ。
地面に倒れ込んでいる女達が、哀れに見えてくる。
俺の恋人、に、闘いを挑むなんて。
に、敵う筈がないんだからな。
まぁ、これで大人しくなるかも知れない。
「悪かった・・・・。」
「そう思うなら、躾なさいよ。だらし無い。迷惑よ。次に来たら、別れるわ。」
「・・・・・・・・・あぁ。」
俺は、誓った。
別れたくないから、躾をすると。
どんなに強くても。
どんなに怖くても。
俺は、が好きだから。
だから、別れないし別れたくない。
何時か・・・・名前で呼んで欲しいんだがな。
どうか、そういう日が来ますように・・・・・・。