「あぶねぇなぁ・・・・。」
危険
目が、離せない。
どうも、危なっかしいから。
まぁ、初めて会った時もかなり危なかったよな。
廊下で、転び。
壁に、激突しそうになり。
職員室の方向を、間違え。
一体、今までどうやって生き延びてきたんだか。
「・・・・・・・ちょっと、あ・と・べ!何見てんのよ!!」
「イデデデデデ!!!!」
首を、絞められた。
犯人は、知っている。
俺が、さっきまで見ていた彼女の姉である、だ。
妹、溺愛。
妹、大好き。
妹、LOVEな女。
「ったく・・・・・いてぇなぁ・・・・殺す気か!?」
「モチよ。殺す気満々だったわよ。良く分かったわね。褒めてあげるわ!」
褒められたくない。
こんな事で、褒められたって嬉しくない。
喜ぶ奴がいるなら、見てみたいぜ。
「を、いやらしい目で見てんじゃないわよ。汚れる!」
「いや、見てるだけで汚れたら、凄いだろうが。」
「とにかく、見るんじゃないわよ!」
「無理な注文だな。」
そんな注文、誰か耳を貸すか。
確かに、大事な妹なんだろう。
それは、分かっている。
俺だって、散々聞かされていたんだからな。
「俺を構うより、忍足の所に行けよ。」
「侑士は、二の次!要らん!!」
「はぁ・・・・・・忍足も、哀れだよな。」
「何よ。侑士は、こんな私でも愛してくれてるの!」
そうかよ。
それはそれは。
どうやったら、こんな風になれるんだかな。
「やれやれ・・・・・。」
こんな煩い場所には、いたくない。
もっと、ゆっくり出来る場所に行こう。
それが良いだろう。
「じゃあな。」
「・・・・・・何処に行く気よ。」
「一人に、なりてぇんだよ。じゃあな。」
もう外に、の姿はない。
何処かに、行ってしまった。
こんな広い校舎を捜し回るのは、困難だ。
(畜生・・・・女遊びだって、した事ねぇのに・・・・・。)
一体、何だってんだよ。
俺が触っても、妊娠なんかしねぇし。
俺は、惚れた女一筋だ。
何がっても、変わらない。
「いっ・・・・っ・・!!!!」
「あ?」
「あぁ・・・・また転んで・・・あぁぁぁ・・・制服が!」
・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・此処にいたのかよ。
また、転んだのかよ。
「よぉ・・・・・。」
「は?誰ですか。」
「おい、昨日の今日で忘れてんじゃねぇよ。」
「お姉さんに、必要ない情報は切り捨てろと言われたもので。」
「あんの・・・・女・・・。」
言ってくれる。
否、忘れる方も忘れる方だが・・・・・。
「俺の名前は、跡部景吾だ。忘れるんじゃないぞ。例え、姉貴に何と言われても・・・・・だ。」
「は?」
は、“跡部景吾跡部景吾跡部景吾・・・・・・。”と俺の名前を、連呼していた。
きっと、インプットしているのだろう。
「今日は、どうして転んだんだ。」
「分かりません。」
「・・・・・お前さぁ・・どうして、無傷なんだ?」
「それも、分かりません。」
「俺は、好きか?」
「さぁ?」
「・・・・・・・・好きになれよ。」
「無理です。」
・・・・・・・・・・即答された。
これは、この先も可能性がないって事か?
俺に、望みは・・・・・ない・・・?
「初めて会ったのに、無理です。私はまだ、跡部景吾の“あ”の字も知らないんですからね。」
それで、好きになれと言うのは、自分勝手だと思われます。
確かに、そうだ。
俺は、随分と焦っていたのかもしれない。
違う、焦っていたんだ。
「。俺は、お前を大切にするから・・・・・さ。考えてくれよ。」
「何を?」
「俺と、付き合うのをさ。ただ・・・・・姉貴には、言うな。お前が、お前のその綺麗な瞳で俺を見て、感じて、考えろ。」
「なかなか・・・・手強い相手になりそうだな。」
彼女は、俺に言った。
“ずっと一緒にいる訳ではないから、感じるのは難しい”
一理あるな。
学年も違うのに、難しいよな。
これは、かなり苦難だな。
「・・・・・まぁ、頑張るか。」
延長戦だって、良い。
前途多難でも、構わない。
俺は、を大切にするつもりだから。
『覚えておけよ。俺は、お前を大切にする自信がある。』