Vous ne riez pas
「好きなんだよ。」
ずっと昔、伝えた詞。
何時だったんだろう?
僕は、君に伝えたよね・・・・・。
伝えた僕は、覚えているよ。
伝えられた君は・・・・・覚えていてくれているかな・・・・?
「久し振り。」
偶然の、出会いだった。
君は、きっとそう思うだろう。
でもね、違うんだよ。
これは、偶然なんかじゃない。
僕が、知っていたから。
ずっとずっとずっと、前から。
君が、この場所に通っている事を、知っていたんだ。
知った日から、タイミングを探ってた。
どう話し掛けようか、迷っていた。
考えた末が、“久し振り”。
なんて、ありきたり。
何処にでもある、台詞。
でもさ、不自然なんかじゃなかったでしょう?
「、よく此処にはくるの?」
「そうよ。」
こんなの、聞かなくたって、分かっているよ。
僕は、君を見つめる為に。
君は、景色を見下ろすために。
この場所に、通っていたんだから。
「今・・・・何やっているの?」
「大学生なるものを、やっているわ。不二は?」
「僕も、同じだよ。」
お互いに、大学生。
まぁ、違う大学だけれど・・・・。
全く連絡を、取り合っていなかったから。
取り合っていたら、僕は君と同じ大学にしていたのに。
英二が、早く教えてくれたらなぁ・・・・・。
「不二はさ・・・・・覚えている?」
「うん?」
「中学時代の事。」
中学時代。
覚えているよ。
と一緒にいられた、三年間。
その三年間だけで、離ればなれになった。
側にいられた、三年間。
それを、忘れることなんか出来るわけがないじゃないか。
「あの時、言ったわよね。私達、ずっとずっと友達・・・・だと。」
「・・・・・・・・うん。」
忘れてないよ。
覚えているよ。
君と僕は、友達なんだって。
それ以外には、なれないんじゃないかって。
好きだって言った、この僕に対して。
隠すことも無く、本音を言った。
“この好きは、異性としての好きじゃない。友達として、好きなんだ”って。
「君は、三年以上経った今でも・・・・そう思ってる?」
「さぁ・・・・・どうかしら。」
「相変わらず、はぐらかすのが上手だなぁ・・・・・は。」
そこは、全く変わらないんだね。
君は、何時でも僕をはぐらかす。
「付き合ってよ。」
「何故?」
「君は、僕を好きになる。最後には・・・・・僕無しじゃ・・・生きられなくなるよ。」
自信がある。
は、僕を好きになる。
そして、僕を求めるんだ。
僕と同じ様に。
死ぬまで。
死んでからも。
生まれ変わったって・・・・・変わらない。
「凄い・・・・自信。不二らしい・・・。フフッ・・・お、おかしい・・・っ・・・。」
「本気なんだけどな・・・・・僕は。」
だから、笑わないでと言ったら。
は、御免と謝った。
笑うのを止めて、真顔になったは、こう言った。
「良いよ。付き合ってみようじゃない。」