君だけだよ。
失いたくない
どうしても、怖かった。
を、失ってしまうんじゃないかって・・・・・。
ねぇ、僕を分かってくれていたのは、なんだよ。
確かに、馨だって分かってくれている。
だけどね?
僕は、に理解される事が嬉しかったんだ。
毎日毎日、君が僕の言いたい事を理解してくれた。
(思えば・・・・あの頃から好きだったのかも。)
側にいて欲しいと思った時には、必ず側にいてくれた。
これが他の女の子だったら、こうはいかないと思う。
だったから、出来た技?
・・・・・・・・・・なんて、僕だけかな。
こんな風に、思ってしまうのは。
『光。私ね・・・・やりたい事があるの。』
ある日、が僕に向かってある事を切り出して来た。
嫌な予感がした僕は、その場から逃げ出してしまった。
それ以降も、僕はを避け続けた。
『ねぇ、話を聞いてあげなくて良いの?』
馨に、そう言われた。
だけど僕は、聞く気になれなかった。
そうこうしている間に、の存在は、校内から消えていた。
が存在しない、学校。
僕の隣にいてくれた筈の、の姿が全く無い。
僕は、を失ってしまった。
噂によると、は両親の仕事の手伝いの為に、海外へと向かったらしい。
『お前、ずっと逃げてばかりだったのか?』
殿に、叱られた。
そんなの、言われなくたって分かっているよ。
分かっていたけど、怖かったんだ。
もしかしたら、その為に、僕に別れを切り出されるかと思うと・・・・・。
僕が、弱い人間だったから。
『彼女が帰ってくるのは、何時か分からないらしい。光、愛想をつかされたんじゃないのか。』
煩いよ、皆。
どうして、僕をそんな目で見つめるの?
そんなに、僕が悪いの?
誰も、僕の気持ちを理解してくれようとしないの?
ねぇ、馨。
馨も、僕を責めるの?
『もう・・・・・放っておいてよ!!!!』
僕は、自宅でないた。
馨もいない部屋で、泣き続けた。
『・・・・・・・・ごめっ・・・・御免・・・っ・・・・・。』
悔しかった。
憎かった。
最悪な気分だった。
自分が、最低過ぎて・・・・もう、目茶苦茶に壊してしまいたかった。
(あれから・・・・もう、六年経っちゃったんだな。)
月日は、流れに流れてしまった。
気が付けば、こんなに経ってしまっていたなんて。
僕自身、どんな風に生活していたのかよく覚えていない。
ただ、はっきり覚えているのは一つだけ。
“結婚しよう”
が帰って来た当日、僕は空港でプロポーズをした。
もう二度と、あんな思いはしたくなかったから。
一人には、なりたくなかった。
「・・・・・・・・長かったな。」
長かった、本当に・・・・・・。
「お、新郎!!今日は、めでたいじゃないか!!!」
「煩いなぁ・・・・殿は。もう少し、静かにしてくれない?」
そう、今日は僕との結婚式。
と、夫婦になる日がやってきたんだ。
・・・・・・・・・・と、言っても、同棲は結構前からしていたんだけれど。
「さて、行きますか・・・・。」
僕は、立ち上がる。
今日からまた、気持ちを切り替えていこう。
僕は、強くならなければいけない。
と・・・・まだ見ぬ未来の子供の為に・・・・・。