「諦めてくんない?」
黒い瞳
「好きです!」
一人の女の子が、僕に向かって言った。
僕が、判別出来ない癖に。
理解さえ、しようとしないくせに。
どうして、好きだって言うの?
どうして、好きって言えるの?
可笑しいじゃないか。
僕にしたら、権利がないよ。
言わないで欲しい。
“好き”
が、軽々しく聞こえる。
「光君が、好きなの。」
一人の女の子が、告白して来た。
あぁ・・・・・嫌だよ。
辞めてほしいよ。
言わないで・・・・・言葉にしないで。
僕は、好きじゃないよ。
大嫌いだ。
気分が、悪い。
吐き気が、するよ。
分かってない、理解していない。
君達は、どういうつもりで言っているのだろう。
「そう。」
彼女は、一言だけだった。
僕としては、残念な反応だった。
ザンネンでざんねんで残念だ。
現実と、結果と、想像は違って。
・・・・・・・あぁ、現実と結果は似ているね。
「はさ、どう思う?」
僕は、僕を見ない彼女に尋ねる。
告白について、はどう思うのだろう。
僕としては・・・・まぁ、もう少し良い反応が欲しかったかな。
「告白をするしないは・・・個人の自由。そして、その言葉を聞くも聞かないも、自分次第。
光は、自分の意志で聞きに行ったのだから、文句を言う資格はないでしょう。」
やっぱり、見ない。
は、僕を見ないで答えた。
彼女の黒い瞳は、外を映している。
どうして、向いてくれないんだろう。
いつも・・・・は、僕をその瞳に映そうとしない。
「はさ、僕が悪いって言うの?」
「半々よ。」
「・・・・・・チェッ。僕は、悪くないよ。絶対に、悪くない。」
「そう。」
「ねぇ、何を見ているの?」
「外よ。」
「・・・・・・・・僕を、見てよ。」
僕を、見て。
君の隣にいる、僕を。
今、話をしている僕を。
を独占する権利は、僕にあるんだ。
僕以外のモノが、独占して良い筈がないんだから。
許さない。
許さないよ。
「光は、我が儘だわ。」
「そうだよ。」
「独占したがる。」
「それは、だからだよ。の全てを一人占めしたい。」
「馬鹿ね・・・・・。」
は、振り向いてくれた。
僕は、の瞳を見る。
彼女も、僕の瞳を見た。
の漆黒の瞳に、僕が映っていた。
僕だけが、映し出されている。
ねぇ、は僕の瞳の中に何が見える?