ど
うか、分かって。僕の心を
分かっているんだよ。
僕の一言、一言で、彼女が傷付いている事なんて。
だけど僕は、謝らない。
だって、謝れないんだよ。
素直じゃ、ないから。
嬉しいのに、憎まれ口を叩いてしまう。
「光はまた、酷い事を言うのね。」
「煩いなぁ・・・・・には、関係ないでしょ?」
「そう思うなら、私に酷い言葉を吐き捨てないでもらいたいわね。」
言いたい事は、分かっている。
分かっているけど、素直になれない僕の口。
こんな自分に、苛々してしまう。
人を傷付けた分だけ、僕も傷を負う。
人を泣かせた分だけ、僕は後悔をする。
「馨はさ・・・・双子と言ってもやっぱり違うよね。」
「何?突然、どうしたの?」
「双子でも、全てが同じの様で違うって言ったの。」
そう、違う。
本当に、違うんだ。
あぁ、羨ましくて仕方がない。
僕は、“馨”に産まれたかった・・・・・。
“馨”になれれば、もっと違っていたのに。
そうすれば、彼女を笑わせる事だって簡単なのに。
「じゃあ、素直になってみたら?」
「無理言わないでよ・・・・・それが出来るなら、既に素直になってる。」
「そっかぁ・・・・・。でもさ、光。僕思うんだけど・・・・・・。」
僕は、馨の言った言葉が信じられなかった。
だって、本当に変な事を言うから。
「ホスト部には、行かないの?」
「か・・・・・。行く気が、しないんだよ。だから、ちょっとサボリ。」
「珍しいわね。馨が、困るでしょう。」
「僕より、馨の心配をするんだ。ふぅん・・・・は、馨が好きなんだ。」
「どうして、そういう思考にいくのか理解が出来ないわね。」
「違うって言えるの?」
「言えるわよ。」
「嘘。絶対に、嘘だ!!!」
「・・・・・・勝手に、言っていなさい。」
「あ・・・・・。」
は、教室から出ていってしまった。
僕は、彼女を追い掛けることが出来なかった。
どうしても、動けなかった。
(また・・・・やっちゃった。)
後悔先に立たず。
全く、その通り。
アァ・・・・ドウシテ、コウナッチャウンダロウカ
明日、謝ろう。
に、ゴメンって言おう。
きっと言える。
言ってみせるよ。
「あ・・・・あの・・・。」
「何かしら。」
は、普段と同じだった。
変化が、全くなかった。
昨日のあの感覚は、何だったのだろう。
僕の、気のせい?
「話しは、何かしらね。」
「あ・・・・えっと・・・昨日の事なんだけど・・・さ・・。」
こうやって、面と向かって言うのは、緊張する。
特に、謝る行為は大変だ。
自分が悪いと思っていても、なかなか言えない。
「昨日の、何かしらね。」
「う・・・・ぁ・・昨日の・・・と、とにかく!!ゴメンなさい!!」
僕は、深々と頭を下げた。
こんなに深く頭を下げたのは、初めてだ。
人になんて、なかなか頭を下げない。
は、分かってくれるだろうか。
僕が、本気で悪いと思っているのを。
「・・・・・・変な事をするのね。今まで、悪いと思っても謝らなかったのに。」
“本当に、光なの?”
に、そう言われた。
彼女は、全く怒っていなかった。
「大体、あの位で怒るなら・・・・・貴方の恋人なんて、務まらないでしょう?」
「・・・・・・・何それ。何だか、馬鹿にしていない?」
「していないわよ。馬鹿にして、私に何か特があるというの?」
「ない・・・・かな。」
そう、得なんか一つも、ナイ。
それに、冷静になって考えると、は僕を馬鹿にした事なんて一度もなかった。
僕は、感情的になりやすい。
これからも、感情的になって、を困らせてしまうかもしれない。
それでも、は傍にいてくれるだろうか・・・・。
あぁ、そうそう。
僕は、一つ言い忘れた事があるんだ。
それは、馨が言った一言。
そう・・・・・僕が、信じられなかったあの言葉。
“は、光だから好きになったんだよ。僕だったら、駄目だったかもしれないよ・・・・。”