「やっぱ、車乗るならこれだろ!!」
誰かが言った(誰が言ったかはご想像にお任せします。)
この一言により、テニス部の部室では激しい論争が始まった。←(テニスやれよ。)
〜車、論争・・・・・?〜
「なんやん?宍戸、スポーツカーかいな。」
「へへっ。やっぱ男はスポーツカーだろ!」
何故か自慢そうに雑誌の写真を見せびらかせながら、話す宍戸。
そんな彼に対して『そんな事、いったい誰が決めたんだ。←(済みません。管理人です。)』
とは敢えて突っ込まない。氷帝軍団。
「まぁ、スポーツカーは男の憧れやしなぁ・・・お?俺はこの車がえぇわvv」
宍戸の言葉に賛成しつつ、雑誌を覗き込む忍足。
「ん・・・・?え〜!!こんなんが良いのかよ、侑士!!」
雑誌を覗き込み、一秒も経たずに非難の声を挙げたのは、彼のダブルスパートナー向日岳人。
彼は忍足の好みが聞き食わない様だ。
そんな彼に忍足は”好みは人それぞれやろ?”と諭す。流石は氷帝のお兄さん。
「それはそうだけど・・・俺的にはこ〜ゆ〜シンプルなのが良いなぁ!跡部は??」
忍足の意見に賛成しつつ、跡部に問う岳人。
当然跡部の返事は・・・
「あ〜ん?俺様はベンツに決まってんだろうが?」
「・・・・・・・・・・・・。」
((ケッッ!!!こんの・・・・ボンボンが!!!!))
庶民’sは心の声で跡部に対して嫌みを言った。
口に出さないのは、彼がそんな事を言われても気にしないし、
逆にやられてしまうと分かっているのだ。
「俺はなぁ・・・こういう車に乗って、とドライブ行きたいんや
・・・はぁぁ・・・えぇわぁ・・・。」
庶民’sの心の叫びなどスルーして、忍足は自分の妄想の世界へと飛び込んでいった。
彼の脳内では今は幸せいっぱいで周りの声なんか聞こえない。
(うわっ・・・侑士、自分の世界に入ったよ・・・。)
ダブルスのパートナーである岳人は、瞬時に忍足の思考を読み取った。
流石!!ダブルスパートナー!!!
「宍戸さんは、どんな車種がいいですか?僕のイメージだと・・・普通車ですかね。」
黒い笑顔を見せるチョタ。
「・・・長太郎・・・。」
黒い笑顔の前では、流石の宍戸も何も言えなかった。
「プッ・・・宍戸は普通車か。確かにそんな感じだよな。」
夢の中へ入ってしまったパートナーは放って置き、お腹を抱えて笑い始めた岳人。
「あれだろ?普通車は普通車でも、中古車だろ!!!アハハハハハ!!!!」
「岳人、テメェ・・わら・・・・おわっ!!!」
殴りかかろうとした宍戸に、背後から何か重いモノが乗っかかってきた。
彼が視線を向けてみると・・・・
「やっぱり、海にドライブやろ?夕日を二人でうっとりと見るんや・・・・。」
なんと、夢の中へ入ったままの忍足が乗っかっているではないか。
ロマンチストすぎるぞ。忍足侑士。
「忍足!!テメェ、重いんだよ!!ってか何の話かさっぱりわからねぇよ!!!」
「なんや、佑美とのドライブの話や。」
「お前って本当、馬鹿だよなぁ・・・。」
宍戸は自分から忍足を退かして言った。
「なんやの!?宍戸、彼女がおらんから八つ当たりかいな?俺より跡部の方が馬鹿やと思うでぇ〜?」
と跡部に話を振る忍足。
「は?お前以上の馬鹿っているのかよ。」
フフン・・・と馬鹿にしたように笑いながら忍足を見下ろす。
「だから、お前やお前。」
跡部の発言など気にもせずに、クスクスと笑いながら跡部を指さす。
「跡部はバカやからなぁ☆まぁ、しゃーないか!あないに可愛い彼女やったら。」
と、跡部をからかう。
「俺も見た事あるよ〜!!めっちゃ可愛かったC〜」
目覚めたジローの第一声。
「・・・お前等、いい加減に・・・。」
と言いつつも、顔が緩む跡部景吾。
そんな跡部に向かって、鳳長太郎。通称”黒チョタ”は、
「でも、跡部先輩嫌われてますよね。この間だって、存在自体否定されてましたから。」
などと、笑顔で言い放った。
「そうそう、跡部に近付くと妊娠するって噂が流れたから半径三メートル以内に近付かなくなったよな。
アハハハハハ!!!」
「可哀想やなぁ・・・俺のなんて、可愛いもんやでぇ?耳元で囁くとめっちゃ恥ずかしがるんや。あ〜可愛い。」
クックック・・・と哀れむように跡部を見る。
さっきとは変わり、形勢逆転成功!!天才・忍足侑士はだてじゃない!!!
「・・・お前等・・・好き勝手言いやがって!は俺にぞっこんで、あれは単なる照れ隠しだ!!
なぁ?樺地!?」
樺地に同意を求める跡部。樺地もいつも通りに
「うす。」
しか言わない。
「え〜・・でも彼女、”跡部ってさ、ウザイよね。馬鹿だし。”とか言ってたC〜。」
ファァ・・・と欠伸をしながら、ジローがグサッと急所を刺す。
彼には全く悪気がございません。ご了承ください。
「それに比べ、は忍足にぞっこんだよなぁ。正反対だよなぁ・・・・お前等付き合ってんの?」
「あ、俺もそれ聞いてみたかったんや。俺とみたいに休日はデートしないし、
昼飯も一緒に食わないもんなぁ?跡部坊ちゃん?」
日頃の悪口の仕返しを今こそ晴らすべき!!と言わんばかりに、忍足の跡部への攻撃が始まる。
「・・・俺だってたまにはと飯食ったりするわ!!」
跡部様、皆に負けそうです。
・・・コンコン・・・。
そんな時、部室の戸が叩かれた。
「・・・誰もいないのかなぁ?」
「いなけりゃいないでいいけどね。失礼しま〜す。」
ノックしたさんとは反対に、全くノックせずに中に入る人物が一人。
(念のため言っておきますが、場所は男子テニス部の部室です。)
「おっ、〜☆こっちきぃや。」
パァァァ・・・と忍足は自分の周りに花を咲かせ、幸せいっぱいに自分の彼女を迎え入れる。
「侑士vvあ、は跡部君のとこね☆」
は超笑顔で、を跡部の横に座らせた。
跡部は照れくさそうに
「・・・俺様に会いに来たのか?」
とに問いかけた。
「聞いてくれ!!この間、立海のテニス部と練習試合したじゃないか!!
その時、アドレス交換した人がいてさぁ・・・もう格好良いと言うか・・・惚れるよね!!」
跡部の隣に座った彼女が放った第一声。
彼の質問など無視して、他の男の話をし始めた。
「、今夜は家に来るやろ?最高のラブ・ロマンス映画のビデオ見つけたんや☆」
一方、反対の席では忍足が自分の膝の上に愛しい彼女を乗せながらラブラブっぷりを発揮していた。
(てか、は俺と付き合ってるんじゃないのか!?)
跡部はショックを隠せない。
「・・・なんか、あの二人はスポーツカー乗っても恋人しか乗せなそうだなぁ・・・。」
部室の隅で雑誌を片手に滝は呟いた。
すると、いきなり・・・
「スポーツカー?ふぅん・・・どれどれ。殿、忍足菌から離れて儂に近うよれぃ!!」
車の雑誌を見ながらラブラブしているに手招きする。
「駄目や。俺達は今、愛を育んでるんや。なぁ〜?」
が返事をするよりも早く、忍足が返答し、彼女をギュッと抱き締めて、離そうとしない。
「ふん・・・この似非関西人。跡部坊ちゃんはどの車に乗りたいのさ。」
”仕方ねぇ、こいつと話すか。”と言わんばかりの表情をしながら跡部に話しかける。
「んあ?・・・俺様は、が乗りたいって車で良い。」
すでにだらけてる跡部様!!
「つまらない男だな・・・。貴様はもう用済みだ。あっち行け。
もう良い。違う男に乗り換えるから。」
シッシッ・・・と手で跡部を追い払う。
「な!?スポーツカーだ!!俺が乗りたいのは!!!」
必死になる跡部様。
「あ〜ぁ・・・無敵の跡部が・・・。」
宍戸はため息を吐いた。
「どのスポーツカーに乗りたいのさ。スポーツカーって言っても沢山あるじゃないか。」
”細かく言え。細かく。”と言いながら跡部の頬を抓る。
「グッ(泣)」
跡部様、負けてる。負けてるよ。
そんな仲の悪い二人とは反対にこちらは・・・・。
「はどの車に乗りたい?言ってみ?」
と、相変わらず仲良くラブラブやっている。
「私はセリカが良いなぁvv」
さりげなく、マニアックな車を答える。
「セリカかぁ・・・なかなかえぇセンスしとるやないか。
俺が免許取ったら、セリカ買って乗せたるわ☆」
前半では、違う車を良いと言っていたのに、彼女が”セリカが良い”と言うと
自分の言った事なんぞ忘れ、彼女の意見に同意。
やはり、愛は意見さえも変えてしまうのか!?
そんな忍足の言葉には、
「本当!?有り難うv侑士」
と満円の笑みで答える。
「の為やからなぁ〜☆以外は助手席には乗せへんわ」
彼女の髪を自分の指に絡ませながら、にっこりと笑顔を見せる。
この二人、かなりバカップルになりそうだぞ!!
一方横では・・・・
「お前は何の車が良いんだよ!?」
「当ててみろ!」
と、とてつもない会話が続いていた。
「はぁ・・・そうだなぁ・・・やっぱ、ランエボだな!!これ格好良い!!一目惚れ!!」
口論するのが疲れたのか、今日は素直に答える。
((いつも素直にしてりゃあなぁ・・・・周りだって疲れるぞ!!))
「ランエボだな!?分かった!」
なにやら跡部は電話をかけ始めた。
「おい、跡部。何電話してんだ?」
突然電話をかけ始めた跡部を不思議そうに見つめる周りの氷帝軍団。
「何やろな??どう思う?」
忍足も分からず、彼女に聞いてみる。
「ん〜?多分跡部君は、が好きって言った車を学校まで持ってくる気だよ。」
一同あっけに取られた。
「って、跡部!!落ち着け!!」
は必死に跡部を押さえる。
「べ〜さん、べ〜さん。電話するのと私・・・・どっちが大事だよ!!」
慌てて携帯を奪い、電話の相手との会話を中断させる。
「は凄いなぁ〜。名探偵やな☆」
”よしよし”と言いながら、忍足は愛しそうに彼女の頭を撫でてあげる。
「跡部君はが大好きだから分かるよvv」
「それは凄いなぁ・・・・せやけど、少し離れないとまた一波乱起きそうやで。」
忍足は、彼女を抱えて跡部から少し離れた場所に避難する。
「何すんだよ!?ケータイ返せ(汗)」
跡部は慌ててから携帯を取ろうとする。
「ほぅ・・・私より携帯かぁ・・・。フン、貴様は携帯と付き合って、携帯と結婚して
携帯と一生を共にするがいいさ!!」
携帯をポイ捨てするように、跡部までポイ捨てしようというのかさん。
「・・・あ〜ん?誰がそんな事するか。俺様が好きなのは!!お前だけだ!!」
部室内ざわめく。
「跡部君!!に告白するなら、私の許可を。」
に抱きつく。
「何故にの許可が必要なんだよ!!」
「決まっているじゃないか。忍足だって私に許可を得て殿を恋人にしたんだぞ?」
跡部の質問にサラリと解答する。
が忍足に向かって、”そうだったよな?関西人。”と同意を求めると
忍足は・・・
「あぁ。大変だったんやでぇ?彼女の審査はきついわ。ま、への愛で
俺は試練を乗り越えたけどな。」
軽くショックを受ける跡部。
「な・・・俺の試練はなんだ、!!」
食いかかるようにに近付く。
「そうだなぁ・・・・。」
悩む。
「っつうかさぁ・・・私、跡部の恋人になったら大変そうだから嫌だ。」
突然、悩んでいる佑美の横から、は”付き合いたくない宣言”をしてきた。
「お、おい・・・そんな事言われたら俺達にとばっちりが・・・・。」
に縋りながら、今の発言を撤回するように頼む宍戸さん。
彼はかなりとばっちりの被害を受けているのだろう・・・アーメン。
「分かった!跡部君!!あなたの試練は”に好かれる”これよ!!」
自信ありげな。
「・・・よし。俺に不可能はない!!」
自信ありげに跡部は、に近付く。
「ソレイジョウチカヅカナイデクダサイ。ニンシンシタクナイデス。」
は片言の日本語で、跡部が近付く事を拒否しまくる。
「なんでだ、!?」
半泣き跡部様。
「跡部よりぃぃぃ〜・・・・立海の詐欺師とか紳士の方が好かれてるよねぇ〜。ちゃん。」
ジローは、段々と眠りの時間になりかけてるのか、かなり眠そうな声でに話しかける。
「そうだね、ジローちゃん。跡部君より立海さんかなぁ。」
笑顔で毒を吐く。
「だよねぇ〜。跡部子供っぽいもん。向こうは大人の男って感じ?」
エヘヘ〜・・・と笑いながら発言するジロー。
何度も言いますが、彼に悪気はございません。
「貴様にはファンクラブの女達がいれば十分だろ?」
”まだ女が欲しいのか?”と不思議そうに尋ねる。
「ふ・・・、お前はまだ何も分かってないな?ファンクラブの奴等なんかじゃなく、
俺が欲しいのはだけだー!!!」
いつになく強気な跡部様!!
「はぁ?テニスの試合の時”キャ〜☆跡部様〜っ!!!”
って言われていい気になっていた奴はどこの誰ですか〜?」
そんな跡部に怖じ気もせずに言い返す。
「お二人は相性が悪いんですね。」
そんな二人のやり取りを見ながらクスクスと笑い出してしまう黒チョタ。
彼はかなり可笑しそうに見ている。
「あわわ・・・侑士ぃ〜、何とかしてぇ(泣)」
は忍足に助けを求めた。
「う〜ん・・・・の頼みなら。
せやけど、どっちの方を説得すればえぇんや?」
嫌だとは言わず、彼女の願いをすんなりと受け入れる忍足さん。
貴方は大人だわ!!!
「両方!!侑士なら出来るよねぇ?」
すでに涙目な。
その横ではいまだに戦いが続いている。
「両方ねぇ・・・お二人さん。取り敢えず、一ヶ月付き合ってみたらどうや?
嫌だ嫌だ言っても、跡部も引き下がりそうにないし・・・な?
その間、跡部が他の女に手を出したりしたらつきあいはそこまで。跡部もその時は潔く引き下がれや。」
二人の間に入り、何とか忍足は二人を説得させようとする。
「ちっ・・・いいぜ。俺は絶対以外には手を出さないしな。」
勝ち誇ったかのように、忍足の意見に賛成した。
「嫌だ!!貴様があきらめろ!!このナルシストが!!!」
樺地の後ろに回り込み、ギャースカ言い出す。
かなり拒否っている。それほどまでに嫌か。
「ふぅ・・・諦めろ。跡部。」
ポンッと残念そうな顔をして、忍足は跡部の肩を叩く。
「嫌だ!!絶対手に入れてやる〜!!」
そう言いながら、の後ろに隠れる跡部様。
「頑張れ!!跡部君!!!」
は黒い笑顔で、跡部の応援をする。
「おい、から離れろや。」
慌てて跡部から、を奪う。
跡部に盗られるなんてたまったもんじゃない!!!!
「ふぅ・・・あ、柳生君?久しぶり。この間は楽しかったね!あのさ、今日から私と付き合わない?
私の恋人になって☆」
跡部はの携帯を奪い、柳生に言った。
「今の無し!!」
そう叫ぶと、電源を切ってに近付いた。
「・・・頼むから、俺と付き合ってくれ・・・。」
がタジタジしていると、は言った。
「跡部君、合格って事で☆」
「はぁ!?ちょ・・・・こんなんが彼氏だと思われたくない!!!」
跡部を指さし、に向かって学校の外にも響くような音量で叫ぶ。
「跡部が諦めるか・・・が諦めるか・・・どっちかだよな。」
周りの氷帝軍団が二人の行く末・・・基、自分たちの行く末を見守っている。
「!!跡部君だって悪い人じゃないよ?
それに、に手を出したりしたら私が跡部君を殺すしvv」
((あ、悪魔だ・・・・(汗)))
氷帝軍団はの笑顔を見ながらそう思った。
「っつかさぁ〜・・・いつ何処で私の事が好きになったんだか分からないよねぇ・・・
忍足は殿の何処が好き、あれが好きって言ってるのにさぁ・・・信用性に欠けるよねぇ〜。」
と腕を組みながらジト〜・・・と跡部を見つめる。
その目はかなり変な物体を見ている様だ。
「嫌われてるんだねぇ〜・・・・報われない愛って感じ?」
の言葉にタジタジする跡部。
彼は、開き直って一言!!
「産まれたときからだ!!!」
うわ〜・・・・・・・。
全員が跡部を物珍しそうに見た。
「産まれたとき会ってねぇよ。」
”こいつ馬鹿だ””バーカバーカ”
という様な視線をは跡部に向ける。
「跡部・・・諦めろ・・・。」
部員全員の答えが一致し、代表して宍戸が跡部に伝えた。
その時だった・・・!!!
ガチャ!!!
「お前達、部活はどうした?」
顧問の榊が入ってきた。
「か・・・監督。」
「監督!!良いタイミングで来てくれましたね!!!ほら、部活しろ!!じゃあねぇ〜。」
は”グッドタイミング!!”と言わんばかりに榊に感謝し
話の途中でを連れて帰ってしまった。
「残念だったな。ま、部活しようぜぇ〜。」
落ち込む跡部を置いて部員達はコートに向かった。
なんと冷たい事よ・・・・・。
「樺地、お前も早く行け。」
「・・・・うす。」
榊に言われ、樺地も練習に向かう。
車の話から恋愛の話に急展開してしまい、
ただ一人、彼だけが車種を決めて貰えなかった・・・・・。
〜終わり?〜