「ふぅん・・・・・。」
ジンクス
『此処はな、二人が永遠に結ばれるっていう場所なのだ!』
殿が、そう言っていた。
そう言って、僕達に見せた、一枚の紙。
そこには、殿が言っていた様な事が書かれていた。
別れる事はない。
永遠に、一緒にいられる。
喧嘩も、しない。
・・・・・等々。
「殿ぉ・・・・こんなの嘘に決まってるじゃん。」
光は、全く信じていない様子だった。
信じても、意味が無いから。
鏡夜先輩も、右から左へと、聞き流している。
まぁ・・・・確かに、嘘かもしれない。
「環。そういう事は、ただの金集めの為の宣伝じゃないか?余り、信じるのもどうかと思うがな。」
「し、しかしだな。ちゃんと、永遠だって・・・・・。」
「永遠なんて、難しいよ。生まれ変わったって、出会える確率は低いと思うな。」
殿は、皆に批判されて、かなり落ち込んでしまっていた。
「・・・・・・と、言う訳なんだけど。は、どう思う?」
「嘘。」
「そっかぁ・・・・やっぱり、嘘だと思う?」
「ん。」
「だよねぇ・・・・確かに、嘘っぽいよね。でもさ、興味あるんだよ。僕。」
「・・・・・・・。」
は、“それ、本気で?”と言いたげだった。
嘘だと思うけど、興味はある。
だって、もしだよ?
もし、本当に願いが叶うなら、嬉しいし。
と、ずっと一緒にいられるでしょう?
「いらない。」
いらないって、言った。
え・・・・・僕と一緒にいたくないって事?
結婚とか、したくないって事?
もしかして、別れたいって事?
あれ・・・・・?
「ちょ・・・・っ・・・ちょっと待って。それって、僕と結婚したくないって事?」
「違う。」
そう言って、は紙を指差す。
僕が、殿から奪って来た、神社の紙。
「欲しくない。」
「欲しくないって・・・・・永遠が?」
「ジンクス。」
うーん・・・・・ジンクスが、いらない?
えっと、いらない。
いらない・・・・って言うのは・・・。
「あぁ・・・・分かった。こういった類のは、僕達には必要ないんだね。」
「そう。」
「じゃあ、僕と将来結婚してくれる?」
「・・・・・・・・・・・。」
流石に、そんなの考えていないか。
僕と、結婚なんて。
でも、僕は考えているよ。
何時も何時も、と一緒に暮らす夢を見る。
とても幸せそうで、仲良く暮らしている。
皆に、祝福された結婚。
前よりも、もっと結婚したい気持ちが強くなってきている。
「ねぇ・・・・考えておいてね。僕との、結婚。」
「・・・・・ん。」
焦ったら、きっとは嫌がるに決まってる。
だから、今は結婚したいと伝えておくだけにしておくよ。
やっぱり、僕との間には、ジンクスとか・・・・いらないよね。
殿には悪いけど、この紙は捨てておこう。