の悩み

















































気が付けば、誰かを悲しませていて。













僕達は、幸せになっている。













犠牲に犠牲を重ね、今に至っている。













そう考えると、胸が痛む。













でも、時には犠牲だって必要で。













それが出来ないなら、選ぶ権利なんかなくて。













それが嫌ならば、選ばなければ良いんだ。









































































は、僕の事を愛してる?」










「勿論、愛しているに決まっているでしょう?」










「そっか・・・・・。」


























それもそうだ。













そうじゃなかったら、此処まで続いていない。













好き合っているからこそ、此処まで続いているんだ。













僕は、何を言っているんだろうか。













こんな事を言っても、仕方がないのに。













全く、無意味なのに。













こんなの、口に出す必要はない。













頭の片隅にも、置いておく必要は、ないんだ。






















































それなのに、僕は・・・・・。























































「熱でも、あるの?」










「え?違う違う・・・・熱なんか、ないよ。」

























熱は、平熱。













全く、悪いところなんてない。







































「馨は、今日は可笑しいのね。」










「そう・・・かな・・・・?」










「そうよ。」














































は、即答した。













僕としては、苦笑いをするしかなかった。













彼女は、本当に正直。













とても、正直者。













その正直さが、吉となり、凶となる。













人を幸せにしたり、傷付けたりする事が、ある。












































はさ、犠牲って・・・・必要だと思う?」










「思うわ。」










「何で?」

















僕の質問に、は一呼吸置いて、こう言った。








































































「何かを犠牲にしなければ、得られないモノが、あるからよ。」






































































確かに。













僕が、思っていた答え。













犠牲・・・・犠牲には、なりたくない。













例え、他の人を犠牲にしても、自分はなりたくない。













かなり、自分勝手かも知れない。













それは、分かっている。













でも、誰だってそう思う筈。













人間って、自分勝手だから。

















































“そうじゃない”なんて、言える人がいるのだろうか。












































僕は、いないと思っている。















「この恋も・・・・犠牲になった人がいるのかな。」










「いるでしょうね。馨は、人気者ですからね。私は、周りの女子を敵に回したわ。まぁ、別に構わないけれど。」










「・・・・・・は、強いね。僕は、そんな風に考えられないよ。」










「馨は、弱いわね。犠牲を出したくなかったら、私に告白なんてしないで。周りの人、皆と仲良く・・・・・なんて、無理よ。」










「分かってるよ・・・・、その言葉はキツイよ。止めた方が、良い。」










「そう?じゃあ、次からは気をつけるとしましょうか。」










「それが、良いよ。」














































僕達は、悪い所は悪いと、言い合う事にしている。













そうすれば、互いを少しは刺激し合えるんじゃないかって、考えたから。













“こう思う人だって、いる”














それを知る事が出来れば、また視野が広がる。






















































「馨には、悩みがあるのね。」










「そうだよ。には、ないの?」










「あるわよ。」

















































迷いが、ないのだろうか。













そう思っていたのに、どうやらにも“悩み”が存在するらしい。













僕は、無いと思っていた。













自分に正直に生きている彼女には、そんなモノは存在しないと。













に言ったら“私だって、人間なのよ”と叱られてしまった。














の悩み。













それは、何なのだろう。













始終、教えてくれなかった。













僕は、言ったのに。













白状を、したのに。













そう・・・・・僕の悩み。













それは。“                    ”