「やっぱり、嫌。」
不可解
は、拒否をした。
俺と二人でいる時間を、完全に拒否し続けた。
どうしても、嫌らしい。
「理由は、何だ?」
「ありません。」
「・・・・・・・それなのに、嫌・・だと?」
「はい。」
定義は、ないという事か。
まぁ、人間の心は不可思議だからな。
理由がなくても、可笑しくはないだろう。
しかし、それでは納得しないのも、人間だ。
気にしない。
確かに、気にしていないのかもしれない。
だが・・・・それは、どうでもいい人間だからだ。
俺にとって、はどうでもいい人間とは、違う。
「悪いが、その要望に答える必要はないな。俺には、側にいてもらう理由がある。」
「私の意見は、無視・・・すると?」
「あぁ。」
「・・・・・・・・意地悪な人。」
これの何処が、意地悪の部類に入るのか。
全く、入らないと思うんだがな。
どうしたら、そういう考えに辿り着くのか。
寧ろ、理由も無しに拒否をし続けるの方が、意地悪なのでは?
まぁ・・・・機嫌を損ねるだろうから、敢えて口にはしない。
口は、災いの元だ。
気をつけなければ、彼女に嫌われてしまう。
流石の俺も、それは避けたい。
喧嘩は、最小限に心掛けるべきだからな。
「理由があるならば、少しは考えるが?」
「ありません。ですが、嫌です。」
「・・・・我が儘を言わないでくれないか?」
「私が我が儘を言う事は、滅多にありません。」
は、かなり頑固だ。
見た目の儚さとは違い、芯が強く、自分の考えをなかなか変えようとは思わない。
それは、長所だ。
しかし、時に短所と捉えなければならない。
(どうするか・・・・しかし、時間がない。両親に、を紹介したかっただけなんだがな。)
今日は、父の誕生日。
折角だから、の事を紹介したかった。
彼女が、どれだけ素晴らしい女性かを、知ってほしいから。
「・・・・・・・鏡夜さん。」
「何だ?」
「理由・・・・ありました。一生懸命、捜しました。何か、ないのだろうか・・・・と。そうしたら、ありました。」
は、見つかったのが嬉しいのか、かなり喜んでいた。
そこには、不機嫌そうな彼女は、もういない。
「鏡夜さんは、好きです。ですが・・・・鏡夜さんの、お父様は、嫌いです。」
“だからきっと、会っても嫌な顔しか作れません。”
は、笑顔で言った。
俺の父親が、嫌いだと。
だから、会いたくもないし、祝いたくもない・・・・と。
(無理だな・・・・これじゃあ・・・。)
これじゃあ、先が思いやられる。
何か、解決策を考えよう。
時間は、まだあるのだから。
「仕方がない。今日は、行くのをやめるか。電話を掛けてくる。」
「はい。」
「もしもし?あぁ・・・・姉さん。悪いけど、今日は行けなくなりました。また、後日伺いますから。」
姉に、何かこれない理由があるのか・・・・と聞かれた。
理由?
まぁ、ある事はあるんだが・・・・・。
「特にありませんよ。」
俺は、そう答えた。