“俺を、指名して頂きたい。”














































あなたを愛する

















































どうして、そんな事を言われたのか。



私には、分からない。



鳳鏡夜との接点なんて、無いに等しい。



私は、下級生。



教室も違えば、階も違う。







話し。



話だって、した事がない。



そんな、接点がない人が。



全く、こんなに近くに来る事がない人が。



大きな学園の中にいる、一人に過ぎない私に。



大勢に、紛れ込んでいる私に。



話し掛けて来た。









































(その初めての会話が・・・・あれなの。)








私には、指名をする理由が無い。



ホスト部に行った事が無いのだから。



しようと思わないし、したいとも感じない。



きっと、他の女性なら、喜んでしまうのでしょう。






























































「勿体ない!は、勿体ない事をしたのよ!!」












「そんなに怒鳴らないで。そこまでしなくても、聞こえているし・・・理解も可能よ。」









親友のに、今までの出来事を話してみた。



すると、予想通りの答え。



勿体ない勿体ない勿体ない・・・・・。



本当に、勿体ないの?



それは、そんなに価値があるの?



私には、価値が無い。



その指名が、大事だと思わない。






















「困らせるのが、趣味なのかしらね。」





「違うわよ。それは、絶対にないわ!」





「その自信は、一体何処から溢れ出してくるのかしらね。」


















不思議。



本当に、不思議。



私は、そんなの無いから。

































「不思議だわ・・・・。」





「何が、かな?」





「・・・・・・・・・・・。」












今の声は、聞きたくなかった。








出来れば、出て来て欲しくなかった。























「鳳・・・・先輩。」





「返事を、聞かせて欲しいんだが。」





「先程、お答えしましたが・・・?」





「あれは、俺が欲しい答えじゃ無い。」











































強引だわ。



無理矢理過ぎる。



この人、自分の思い通りにならないと、気に入らないの?



私は、丁重に断った。






































「俺としては、是非来ていただきたい。」





「何故?」





「それを・・・・今此処で聞くのか?」





「納得していませから。私は、行く気はないんです。」




























そう言った私に、彼はこう言った。






















「仕方が無い・・・・・だが、約束してくれないか。その質問に答えたら、俺を指名してくれると。」





「・・・・・・・・・・良いでしょう。」




































そう言ってしまったのが、いけなかったのかも知れない。



でも、後戻りは出来ない。



彼は、私の答えに満足したのだろう。



優しい笑みを、浮かべていた。










































そして・・・・・私に、言った。


















































その言葉は・・・・・。





































































「俺が、貴女を愛しているからだ。」