総
ては・・・・・
「嬢。」
「・・・・・・・・・・何か。」
彼女は、俺に対して怒っている。
俺が、邪魔したのが悪かったのだろうか。
それとも、俺の目の前で、他の男と話をしている彼女が悪いのか。
確かに、楽しいだろう。
彼女の、表情を見れば分かる。
だが、どうしても嫌だった。
オレヲ見ない、ヒトミ。
知らないオトコニ見せる、ホホエミ。
オレガ、入り込めないクウカン。
知らないオトコニ、触れる彼女のユビサキ。
嫉妬した。
物凄く、嫉妬したんだ。
確かに、彼女は俺の恋人じゃない。
オレノ、コイビトニシタイ・・・・・。
俺達は、ただの同級生であり、友人だ。
イマノママノカンケイハ・・・・イヤダ・・・。
俺にとって・・・・・。
オレハ・・・・・。
彼女は・・・・・。
カノジョヲ・・・・・。
友人だ・・・・・。
ジブンダケノモノニシタイ・・・・・。
言い聞かせたのに。
ストッパーを、かけたのに。
動いてしまった。
身体が、反応してしまった。
邪魔を、してしまった。
その結果が、これだ。
現在。
今に、至る。
「済まないだけでは・・・許されないだろうか。」
「勿論です。」
「ならば、俺はどうしたら良い。是が非でも教えて頂きたいものだな。」
「邪魔を・・・・・邪魔を、しないで下さい。最近の貴方は、私が人と話すのを嫌がっているみたいですね。」
邪魔をするな?
俺に、邪魔をするなと言うのか?
何故。
何故、してはいけないんだ。
俺の気持ちを、分かってくれないんだ。
俺は、嫌だったんだ。
自分に言い聞かせても、制御不可能になる位に。
精一杯、頑張っていたんだ。
今、引き離されたら・・・・・。
今、そんな事を言うなんて・・・・・。
「それは、酷だな。俺にとっては、地獄と等しい。」
平行だ。
直線だ。
イコールだ。
「嬢・・・・・俺は、貴女を欲しい。」
「な、何を・・・言って・・・・・。」
「冗談だと思うか?俺は、本気だ。他の誰かに、偽りの言葉を言ったとしても、貴女には言わない。」
言わない。
絶対に、言いたくない。
嘘の言葉を。
偽の、感情を。
贋の、笑顔を。
「貴女を・・・・くれないだろうか?」
君の、為。
そして、自分の為に。
欲しくて仕方ない。
どうか、どうか。
醜い感情を、持ち合わせているけれど。
きっと、君を独占したがるけれど。
どうか、どうか。
俺の恋人に、なってくれ。
これが、俺の想い。
これが、本音だ。
「どうか・・・・・良い返事を。」
俺は、彼女の手を取り、甲にそっと・・・・キスを落とす。
いつか、彼女の美しい唇にキスが出来る様にと願いながら・・・・・。