なたを捕らえる




























































「捕まえましたよ。」








「・・・・・はぁ・・・。」




















俺は、彼女を捕まえた。








どんなに、待った事か。








この時を、待ち望んでいたんだ。








例え、振り向いてもらえなくても。








俺は、欲しかった。








お前が。








という、女性が。








欲しくて、欲しくて、愛しくて。








どれだけ待ったんだろう。








どれだけ、待たせれば気が済むんだろうか。




















































「それで・・・・一体、何をしに来たのですか?」







「貴女に、会いに来たんですよ。嬢。俺は、貴女に会いたくて会いたくて仕方がなかった。」














































本当に、俺を此処まで夢中にさせたのは、が初めてだ。








愛を、人の気持ちを。








この俺に、教えてくれた。








他の人間では、無理だった。








それを、彼女をやったんだ。

















































































『見つけてみせる。』


































































数年前。








まだ、学生だった頃だった。








あの時から、俺は恋をしていた。








を、好きになっていた。








誰にも告げず、本人にも告げずにいた気持ち。








俺の、本音。








心の奥の奥に、閉じ込めた。








発見されないように。








自分も、発見しないように。









































































『この場所に、サヨナラをしようと思います。』

















































この言葉が、鍵を壊した。








いとも簡単に。








閉じ込めるのは難しかったのに、開くのは簡単過ぎる。



































































『いつ・・・・いなくなるんですか。』







『明後日です。』

















































急過ぎる。








余りに、急だ。








どうして、直前に言うのだろう。








俺は、と離れたくない。








側にいて、話をしたかった。

















































『・・・・・・残念・・・ですね。折角、此処まできたのに。』








『そうでしょうか。私は、視野が広がるので、嬉しく思います。』








































俺は、悲しかった。








それなのに、彼女は嬉しそうだった。








笑ってほしくない。








行ってほしくない。












































遠くに、行かないでくれ・・・・・・。



































































「俺は、約束通りにしましたよ。嬢。今度は、貴女が約束を守る番だ。」







「そうですね・・・・・約束は、約束です。」
































あの時、俺達は約束をした。






















































“俺は、自分自身の力だけでを捜す。”


















は、俺が見つけたならば、俺だけのモノになる。”

































余りにも、強引で傲慢かもしれない。








しかし、あの時の俺には・・・・・それしか、思い付かなかった。








今ならば、違う考えが浮かんだかもしれない。




















































「約束です。私は、貴方のモノになりましょう。」








嬢、少し・・・・違いますね。」












































そう、違う。








少し、間違っている。








間違いは、正さなければならない。



































































「俺だけ のモノですよ・・・・嬢。」




















































彼女を手に入れるならば、苦はない。








広い世界での、鬼ごっこ。








鬼と、逃げる人間。








二人だけしかいない、鬼ごっこだ。

























































「先ずは、両親に紹介させてもらう。」










「どうぞ、御自由に。」
























































俺達は、歩き出す。








車には、乗らずに。








今は、二人だけでいたいから・・・・・。