貴
女から、
好きだった、
好きになってしまった、
気付いたら、
大好きだった、
最後には、
愛するだけだった、
「別れた方が、良いわ。」
病室にいる彼女が、
突然言った、
冗談だと思った、
俺に、
嘘を付いていると、
けれど彼女の表情は、
真剣そのもの、
俺は、
笑う事は出来なかった、
「。」
俺は呼んだ、
恋人の名前を、
好きになっていた、
相手の名前を、
「別れる気は、俺にはない。」
断言した、
本音を言った、
そこに偽りは・・・・、
そこに建前は・・・・、
在るわけがない、
「視力が・・・・失くなりつつあるんです。」
何時の日だったか・・・・・、
は、
俺にそう伝えて来た、
その時は、
頭が混乱してしまった、
ミエナイ、
それはカナシイ事だ、
見えナイ、
それはゼツボウだ、
見えない、
それは俺さえも、
声でシキベツするしかない、
「どうして・・・・・今まで、言わなかったんだ。」
「言えなかったんです。」
今までは、
何とかやってきた、
これ以上も、
これ以下も、
無いと信じて、
だが、
医師の口からは、
彼女の念いとは違う、
正反対に近い言葉が来た、
ゼツボウだ、
先がミエナインダ、
の気持ちは、
俺には分からない、
分かろうと思っても、
そうそう分かるものではない、
目の見える人間には、
見えなくなる人間の気持ちなんて、
分かりはしない、
出来るのは、
同情だけ、
「鏡夜、今日も行くのか?」
「あぁ。」
俺は、
ホスト部を休んでいる、
勿論経費等の作業は、
サボる事なくしているが、
「・・・・・お前の父上は、どう言っているんだ?」
「それは・・・・・お前の推測に任せるとしよう。」
親に何を言われようが、
俺には関係ない、
これは俺との、
問題だ、
「環。」
俺は、
考えている環に言った、
「本気になったもの程、面白いものはない。」
「鏡夜さん・・・・・。」
「懲りもせず、また来させてもらったぞ。」
彼女の視力は、
大分失くなって来ている、
殆ど見えていない、
見えなくなるまでの、
カウントダウンは始まっている、
どんなに這っても、
どんなに暴れても、
どんなに泣いても、
どうする事も出来ない、
「手術は、しないのか?」
「・・・・・怖いんです。」
「俺としては、見えなくなる方が怖いが・・・・・。」
人によって、
恐怖は違う、
だが・・・・・見えなくなるということは、
好きな景色等も見えない、
俺がどんなに説明しても、
分かるかどうか・・・・・。
「、思ったんだが・・・・・海外で手術を受けないか?」
「海外・・・・・?」
「日本でも出来ない事はないんだが、良い医師を知っているからな。」
「・・・・・・・・・・・。」
沈黙の後、
は溜息をついた、
半分諦めた様な、
半分何かを悟った様な、
「鏡夜さん、これは決定事項なのですよね?」
「勿論だ。チケットも、パスポートも用意してある。」
「それなのに・・・・尋ねるなんて・・・・。」
「の口から、良い返事を聞きたかっただけだ。」
そう、
どうしてもから聞きたかった、
俺はの為なら、
どんなに金を使おうが構わない、
「返事は?」
「・・・・・行きます。」
苦笑いの様な笑顔だった、
・・・・・・、
俺はお前を、
愛して止まないだろう、