しさを、紛らわせる















































淋しささえ、紛れてくれればそれで良い。













そう思ったから、彼女に近付いた。













本当は、誰でも良かった。













ただ、彼女が近くにいたからという理由だけ。













それだけの理由で、恋人にした。


































































、此処には来るなと言った筈だが・・・・・。」










「本当に来て欲しくないならば、立入禁止の看板でも立て掛けておいたらどうですか?」
























恋人のは、ホスト部へとやってきた。













今まで、来る事はなかったのに。













一体、どういった風の吹き回しなのだろうか。













もしかしたら、熱でもあるのかも知れない。













そうなったら、大変だ。













例え、“偽り”の恋人だとしても・・・・・一応、心配はしておくべきだろう。













それが、恋人だと俺は思うから。











































「そんなに、来て欲しくないんですね。」






















































“どうせ、偽りなのに・・・・・”




















































声に出さなかったが、俺には何て言っていたのか分かった。













“偽り”













も、分かっている。













俺が、好きじゃない・・・・という事を。














































(変わらない・・・・と、思っているんだがな。)






























































変わらない。













きっと、変わらないんだろうと思う。













この気持ちは、一歩も動こうとしない。













動いていないんだろうと、俺は思う。













そう、思いたい。




























































「帰りますね。失礼しました。」


















我に返ると、彼女は立ち上がっていた。













俺がいれた紅茶に、一度も手を付けずに。













































これは・・・・まずい。
































































俺は、怒らせてしまったかもしれない。













機嫌を、損ねてしまった・・・・。



































































「それでは、また明日があるだろうと願って。」














































































「良いのか?鏡夜。彼女、恋人なんだろう?」











「まぁな・・・・・。」















良いはずが、ない。













一体、何処が良いんだ。













何処をどう見たら、そうなのだろうか。

















































(困る・・・・・。)























































今は、離れられてはいけない。














俺は、離れてほしくない。













彼女さえ居れば、紛れてくれる。













この気持ちを、どうにかしてくれるのは・・・・、一人だけだ。















そう思い始めたのは、最近。













何故か、彼女がいれば安らぐ。













どうでも良かった筈なのに。



















































・・・・・。」


























































此処にはいない、彼女の名前を呼ぶ。













誰にも、聞こえない様に。













聞こえるのは、自分だけだと願って。