「・・・・・・これは?」






































































君が、振り向かないつもりなら


























































































嬢への、プレゼントですよ。」







「要らないわ。他の人に差し上げて下さい。」







「俺が、選んだんですがね・・・・・。」







「尚更、要らないわ。」




















は、俺が彼女の為に選んだモノを、全く受け付けない。













彼女が受け付けないのは・・・・・プレゼントだけではない。













そう、この俺さえも受け付けようとはしない。






















拒否。






















頑なに、俺を拒み続ける行為。













以前は、こんな事はなかった。













クラスメイトの一人として、普通に接し、接されていたのに。













あの日から、総てが狂ってしまったんじゃないだろうか。













違う・・・・・違うな。













狂ってしまったんだ。













間違いなく、狂ってしまった。

























(俺が、狂わせた・・・・。)

























こんな事になるならば、あの時、あんな発言をしなければ良かった。













まぁ、今となっては後の祭り。













この関係は、修復は不可能だろうか。













どうか・・・・どうか、と願って続けて来たこの行為。













どうやら、総てが無駄だった様だ。




















「仕方ない。捨てるとしましょう。貴女が必要ないならば、これはただのゴミだ。」







「私のせいに、しないで欲しいですね。」







「別に・・・・していませんよ。嬢の、せいではない。」







「そうですか。」




















素っ気ない、返答。













もう、どうでも良い様な感情が言葉に・・・・態度に出ている。




























































“そうですか”















以前、同じ台詞を言った時、彼女は微笑んでくれていた。













今の様に、突き刺さる様な・・・・・氷みたいな言い方じゃない。













優しかった。













とてもとても、優しかった。













あの優しさが・・・・今となっては、微塵もない。
























「笑って・・・・くれないか?」







「笑う?何故。」





「俺が、見たいからですよ・・・・・。」






「見たい?馬鹿馬鹿しいわね。」















彼女は、笑った。













だが、これは俺が見たい笑顔じゃない。




















(違う・・・違いすぎる・・・・・!!)
















































































「鏡夜さんが、好きです。」










半年前、は・・・・・俺に向かって、そう言った。













所謂、告白・・・・・だ。













凄く、恥ずかしそうだった。













この俺を“好きだ”と、伝えた時の彼女は。

































































「俺は、好きじゃない。悪いが、貴女の事は・・・・・何とも想っていない。」


















































“だから、こんな無意味な好意は、迷惑だ”























































































あの言葉が、どれだけ傷付けた事か。













そんなの・・・・俺には、知る由もなかった。




















「・・・・・そうですか。」










彼女は、笑っていた。













泣く事も、嘆く事も、恨む事も・・・・・しなかった。













ずっと、笑っていた。








































“有り難うございました。そして、さよなら・・・・ですね。”











































俺にそう告げて、去って行った彼女。








俺の中に、“何か”を置き去りにして、居なくなってしまった彼女。




























































































「馬鹿だな。」







「「うんうん。馬鹿だと思う。」」







「きょーちゃん、頭悪かったの?」







「・・・・・・・・・・・・。」







「悪いが、“馬鹿”呼ばわりされるのは心外だな。」







「だーって、振って何ヶ月か経って気付くなんて、馬鹿じゃない?」







「そうそう、鈍感過ぎるよ。鏡夜先輩。」




















これで、何度目だろうか。













連中に、馬鹿にされるのは。













何時からだったのだろうか。













俺が、彼女を好きだと知られてしまったのは。




















「毎日毎日、無駄な好意は止めたらどうだ?」







「煩い・・・・・。」







「振ってから、気付くなんて。どうかしているんじゃないか?」







「煩いぞ・・・・・環・・・。」







嬢、お前への想いはもう残っていないのだろ?」







「黙れ!!!!」




















無意識に、壁を叩き付けていた。













痛かったのか、全く痛くなかったのか・・・・・感じなかった。













彼女には、想いは届かない。













彼女の想いは、俺には向いていない。













そんな事、分かっている。













あれだけ・・・・・あれだけ、酷い事を言ったんだ。

























「分かっているさ・・・・・。」























振り向きも、しない。













振り向いて、くれない。























「そんなの・・・・分かっている・・・。」
















一体、俺の何が分かる。













酷い事を言って・・・・どうして、その後で気が付くんだ。













この後悔は、誰にも分かる訳がない。

























「分かってたまるか・・・・・。」










もう、駄目だ。













俺は、もうこれ以上我慢できない。













よく、やったさ。













此処まで、よく・・・・抑えたと褒めてやりたい位だ。






















































































嬢。」







「今度はな・・・・んんっ・・!!」















周りに、大勢の人間がいても・・・・理性で抑える事は不可能だ。













こうしたかった・・・・・。















ずっとずっと、とこうしたかった。













何度も何度も、口付けたかった・・・・彼女の唇に。




























「っ・・・ちょ・・・何・・・・。」







「黙っていただきたい。また、俺に・・・塞がれたいか?今度は、舌も入れて構わないなら・・・・話しても良いが。」







「・・・・・っ・・・・。」







「いい子だ・・・・嬢。」

























彼女の頬を撫でながら、そっと・・・・耳元で、囁いた。













そんな俺から、離れようともがくが・・・・・無駄な事だ。













逃がしはしない。













絶対に・・・・逃がさない。













































「・・・・・半年前は・・・悪かった。」







「ん・・・っ・・。」















一回。













の唇に、軽く触れる様なキスをする。











































「俺は・・・・凄く後悔した。」







「ちょ・・・っ・・っ・・・。」















二回。













一度目よりも、少しだけ長く口付けを交わす。














































「俺は・・・・・貴女を、愛している。今まで、どんな態度を取られようとも我慢をして来た。だが、もう限界だ・・・・嬢・・・貴女が欲しい。」







「っ・・・ふざけるのも・・大概・・んぅ・・・!!!!」



















三回。













彼女の口をこじ開け、互いの舌を絡ませていく。













この場所が・・・・二人だけならば良かったのに・・・。













二人だけの世界ならば、どんなに嬉しい事か。













二人だけに、なりたい。













と、愛し合いたい。













ずっと・・・・・ずっと、愛し合いたい。













初めは、嫌がっていたとしても。














どんなに、嫌われようとも。













いつかは、愛してくれると信じているから・・・・・。













































「俺に、貴女自身をくれないか?身も・・・心も・・何もかも、俺のモノにしたい。今すぐに・・・・・。」












「ふ、ふざけないで下さい!!いい加減に・・・・っ・・!!「ふざけてなんか、いない!!俺は、本気だ!本気で・・・お前が欲しい・・・っ・・!!!!」

























辺りが、静まり返ったのが分かった。












教室内、近くの廊下にいた人間が・・・・硬直しているのも、感じ取れた。













































「頼む・・・・・。俺は、可笑しくなりそうだ・・・。」







「可笑しくなろうとも、私には関係ありません。」







「・・・・・・強情だな。嫌だと言えない様に、とことん躾る事も可能だが?」







「あ・・・・貴方・・・最低ですね・・・・・。」







「何とでも。まぁ・・・・・これ以上は、最低にならないだろうしな。どん底まで行ったから、後は上がっていくだけだろう?」























は、何か言いたそうだったが・・・・気にせずに、抱き上げ歩き出す。













行き先は、告げてやらない。













着いたら、分かる事だろうから。













いつかは、気に入ってくれるだろう。




















(合い鍵、家具、衣服・・・・全て用意は完了している。)








































































君が、振り向かないつもりなら。


















俺は、強引にでも総てを奪ってやる。


















他の男の元へ、行ってしまう前に。


















この俺を、ここまで我慢させたんだ。


















もう・・・・・十分だろう?









































「今日は、絶対に寝られないからな。覚悟しておくんだぞ、。」