言いたいのに・・・・・。











































してると、言いたくて











































言いたくて、どうしても言いたくて仕方がなかった。

けれど、なかなか言い出せない。







こんな優柔不断な自分が、嫌になってくる。

以前の自分は、どうだっただろうか?

簡単に、“愛している”と言っていた気がする。

それが、を前にすると言えない。

何て、情けないんだろう。


























































「雅治。ほら、食えよ。」



「ん。サンキュ。」



付き合って、半年。

俺は、に“好き”という言葉さえ言っていない。

それで、付き合っていると言えるだろうか?

恋人同士だと、胸を張って言えるだろうか。










は、何も言ってこない。

文句さえも、言わない。

ただ、登下校をして、昼休みを一緒に過ごして、たまにデートをする位だ。

は、満足しているんだろうか。









「何ボケッとしているんだ。早く食べろ。それとも食べたくないのか?」



「いや、そんな事はないきに。頂きます。」












俺は、が作ってくれた弁当を食べ始める。

この時は、二人共何も話さない。

そんな時間も、悪くないと思う。

だが、不安はまだ拭い去った訳じゃない。

言いたい・・・・・今なら、言えるだろうか。






















・・・・あの・・・。」



「何だ?」



は、食べるのを止めて、俺の方を向いた。











「悪い。何でもなか・・・・・。」



やはり、言えなかった。

こんなやり取りを、何度繰り返した事だろう。

彼女は、こんな俺を見ても、何も無かったかのように、食事を再開させる。






















(俺・・・・・一生言えないんじゃろか・・・・・。)



















情けない。

これが、仁王雅治か?

こんなのが、自分なのか?

違うと言いたい。

断言してしまいたい。










































































「情けないな。お前。」



「言うな。そんなん分かっとる。言えないんじゃ・・・どうしても。
今までは、平気だったんに。可笑しいのぅ・・・・。参謀、どうやったら言える?お前なら、何か分かるんじゃなか?」






俺は、柳のクラスに来ていた。

柳なら、教えてくれるかと思ったから。


































































だが、結果は違った。






























































「自分で考えろ。」

























































これが、柳の答えだった。

なんて事だろうか。

教えてくれないなんて、冷たい。

少しくらい、ヒントをくれたって・・・・・。










































































「ただ、言葉にするだけが愛じゃないだろう?仁王。お前は、そのままでいれば良いんだ。」



































































驚いた。

柳の口から、そんな言葉が出るなんて。

思ってもみなかった。























俺は、今のままで構わない?





















何だか、そう言われると安心する。











「ほら、早く行け。待っているんだろう?」



柳は、そういうと俺の背中を押した。






そう、が待っている。

きっと、教室で俺がくるのをずっと待っているに違いない。







は、そういう女だから。

俺は、柳に軽く礼を言って、教室を出る。

そして、が待っている教室へと駆け足で向かう。



































































。」



俺は、愛しい彼女の名前を呼んだ。

彼女は立ち上がり、俺の方へと歩み寄ってくる。

そんな短い時間の中、俺は、彼女に伝えたい言葉を、何時言おうかと考えていた。