「・・・・・・・・・・・誰。」
































































Your insecurity. Your own happiness.






































































暇だった。















いや、ただ練習から逃げたかったのかもしれない。

だから、静かな場所に向かった。













すると、そこには先客がいて。

よく見ると、女子生徒。










































































「なんじゃ・・・・か。」

















「なんだ、仁王か。」















発したのは、ほぼ同時。

そう、そこには恋人のが一人、佇んでいた。









彼女は、群れを作らない。

恋人の俺に対して、壁を作るくらいだ。

















「部活は、どうした。」



「見ての通り、サボリじゃ。」



俺の応答に、は感情を含まず“そうか”とだけ言った。

表情でも、言葉でも、を理解できない。








流石の俺も、こればかりはお手上げ状態。

けれど、俺の事を大切に想ってくれている。

それは、よく分かる。








だから、別に悲しくなんかない。

百も・・・・それ以上も望まない。

俺は、一つでも分かっているだけで幸せだ。

























































「仁王、お前の幸せってなんた?」












































































が突然、そんな事を俺に聞いて来た。






















幸せ?





















俺の、幸せ・・・・ねぇ・・・・・。

は、分からないのだろうか。











君の、漆黒の・・・怖いくらい、美しい髪に触れている時。





君の、その大きな瞳で俺を見つめている時。





君の、俺の身体に流れている様な、深紅の唇に触れる時。





君に・・・・だけに、愛の言葉を囁いた後、君が微笑んでくれる時。






全部が全部、幸せな時だ。




















































、本当に分からない?















































それとも、俺の反応を楽しんでいるのか?

自信がないなんて、言う女じゃない。
















俺は、知っている。

は、強い女だという事を。

時に、悲しげな表情をしていても、俺に泣き付こうとはしない。



















































































「仁王、私だって不安になる時があるんだ。そんな顔をするんじゃない。」
































































は、苦笑いしていた。

あぁ、そうか。

は、俺に対して、自分の弱さを見せてくれたのか。


















そう考えると、自然と笑みが零れてきてしまう。

は、今日また一つ、俺にとって幸せになる事をしてくれた。

また幸せについて尋ねてきたら、答えられる事が一つ増えた。







































「有り難う。俺、幸せじゃ。」



は、訳が分からないみたいだったが、今はまだ、分からなくてもいい。

何時か・・・・分かる日が来るだろうから。