「やる。」



















































In dir dieses


























































「・・・・・・・これは?」



「プレゼント。」



彼女は、手に置かれた一つのプレゼントを見ていた。



俺は、彼女を知っている。




だけど、彼女は俺を知らない。




この差は、大きいと思った。




だから、彼女にプレゼント。




そうすれば、覚えてくれるだろうから。




忘れないで、くれるだろうと信じているから。








































俺は、が好き。

彼女は、二年。      俺は、三年。

彼女は、帰宅部。   俺は、テニス部。




委員会も、違う。




そんな状況の中、知り合うなんて困難も困難。




じゃあ、何故俺は、彼女を好きになったのか。




そんなの、簡単。




見たんだ。




あの、空を見つめている彼女を。




愛おしそうに、青空を見つめていた。





































空が、恋人?


















































初めて見掛けたのに、そう考えただけで嫌な気分になった。



それからは、見掛ける度に嫉妬する日々。



彼女の恋人は、相変わらず空。



どうして、何時も何時も空を?








































































「有り得ん。」



「良いじゃないですか。空が恋人なんですよね?」



柳生は、分かっていない。



確かに、人間じゃない。




けれど、俺を見ていないなら意味がない。



俺の事を見ていてくれたら、問題はない。



見てくれていないから、問題。



話し掛ければ良いのにって言われるかも知れない。



そういう勇気を持ち合わせていないから、もっともっと問題。



























「俺、繊細じゃから・・・・。」



「そういう事を、自分で言わないで下さいよ。全く・・・・・。」



柳生は、かなり呆れた目で俺を見ていた。






















呆れるなよ。



俺は、必死なんだよ。
















分かるか?

こんな気持ち、初めてなんだ。

柳生、お前は・・・・・こんな気持ちになった事があるか?



















































































これは、賭けだ。



俺は、勇気を振り絞って賭に出た。



少しでも、空から視線を俺に。



誰かの助けを借りては、駄目だ。



俺がやるから、意味がある。



そう言い聞かせ、彼女に話しかけた。





















































「開けてみても・・・・・?」



「構わんぜよ。」



彼女は、恐る恐る開け始める。




























・・・・・・・・・・そんなに怖がる必要ないのに。




























俺、傷付きやすい性格だから・・・・何だか、悲しくなった。




確かに、知らない人からなんて、咆驚だろう。




















しかし・・・・・な・・・・。


































「俺の事、怖い?」



「いいえ。別に・・・・。」



「じゃあ、嬉しそうにして?」








なんて、無茶な注文だろう。





自分の言った事に、呆れてしまう。































でも・・・・・。





























































「俺と、付き合って・・・。」











もう、止まらない。


















































「・・・・・好き・・なんよ。」









この気持ちに、嘘は付けない。




























































「恋人の権利・・・空から、俺に移して?」








君が、大好きだから。



























































「頼む・・・・。」








俺の願いを、叶えて下さい。

























































































「友達から・・・・では、駄目ですか?」



「駄目。」



「恋人でなければ・・・・?」



「意味がなか。」













困るのは、目に見えている。




でも、友達なんて我慢できない。




そんな関係で、納得いくはずがない。






























「答えは?」




























































「・・・・・分かりました。」



「よし。」



俺は満足して、彼女からあるモノを取る。

































「・・・・・お前さんは、俺のモンじゃ。」








俺の、






愛おしい・・・・。






俺は、を抱き締めた。






彼女の薬指には、銀の指輪が日光に反射し、輝いていた。