「先輩。」


















































Appeler




























































彼女は、俺の事を“先輩”と呼ぶ。



俺は、彼女の事を“”と呼ぶ。



































































「・・・・・・・・・・納得いかんぜよ。」



「仁王君、勉強に専念しなさい。」



「そうだぞ、仁王。赤点なんぞ、テニス部の恥だからな!!」



「うっさい・・・・・・・。」












赤点なんか、俺が取るか。



俺は、上位十番には入ってる。



勉強だって、家でやっているから、問題ない。













































「納得いかん。」



か。」








































何故、知っている。



俺は、極力見られない様に努力していたのに。



やはり、油断ならない。
























































だが・・・・・だが、参謀。










































































「・・・・・・参謀。にちょっかいだしたら・・・・なぁ?」



いくら、仲間だろうとなんだろうと、に手を出したら、三途の川を見せる。



これは、決定事項。



削除も訂正も無し。

































「他のもんも・・・に手を出したら“死の世界”が待ってるぜよ。」



「ふっ・・・・・問題ない。」



「わ、私だって・・・そんな事しませんよ。」








参謀と紳士は、問題無し。







とは、誰だ?」



あぁ・・・・真田は、全く平気。















「なぁ、菓子くれんの?なぁ、なぁ?くれんなら、好きになるかも!」



「ば、馬鹿!ブン太!!」










・・・・・・・・・ブン太・・・弱みでも、握っておくか。

ジャッカルは、平気じゃな。



「俺、先輩一筋っすから!!他の女、興味ないっす!!」



「それを聞いて安心したぜよ。赤也。」



に、ブン太に餌付けするなって言っておこう。



そうすれば、彼女はあげないと思うから。




































































「で、納得いかないとは?」



「あー・・・・が“雅治”って呼んでくれん。」






この際、ばらしてもいいか。



分かってしまったなら、仕方がないから。








「嫌われてんじゃねぇ?」



「コロス。」
















抹殺者名簿・・・・初めて記載されたのは、ブン太か。



は、嫌ってなんかいない。



勿論、好きかどうか分からない・・・・・。



だって、まだ言ってくれてないから。














「本人に言ったらどうですか。」



「無理。」



「何故っすか?」



「嫌われる。」



恋人にしたのも、強制。



薬指に指輪を嵌めたのも、強制。



二回も、強制してしまった。
















































「恋は、辛いのぅ。」






























































「せ、先輩!」



「ん?」



部室のドアが開いた。



入口にいたのは、



何だか、慌てている様子。



何が、あったんだろう。





























「助けて下さい!!」



「あ?」



状況が飲み込めない。



助けてって事は、それ相当の事が起きたという事だろう。

















「何が起こったんじゃ?」



「こ・・・・此処・・・此処・・に・・・・・!!!」



は、真っ青だ。



彼女が、指を指す方に視線を向けたら、虫がいた。



綺麗な、揚羽蝶。



とは正反対に、蝶はゆったりと、彼女の肩で休んでいた。



















揚羽蝶も、に囚われた?


















もしかして、を気に入った?





















































(同じと言う事かのう・・・・揚羽蝶さんよ。)
































































「ま、雅治!取って下さい!!」

















































































「・・・・・・・・・・。」

















































今、何と?





























「も、一回。」





「え?と、取って下さい・・・。」





「違う。その前。」





「ま、雅治・・・・・・・?」





「呼んで・・・・くれたの。」










俺は、揚羽蝶を追っ払い、を抱き締めた。



呼んでくれた・・・・・俺の名前。



嬉しかった。



揚羽蝶に、感謝しないといけないかもしれない。










































「これからは、名前で呼んで?」



「え・・・・・?」



「嫌?」



「いい・・・・え・・。」



「じゃ、約束。」













余り良く分かっていないと、小指を絡ませる。



これで、成立。



、これからは“先輩”は禁句。



絶対に、駄目。











































































「何で、呼んでくれなかったん?」



「は・・・・・・・・・。」



「は?」



「は、恥ずかしいじゃないですか・・・その・・名前で呼ぶのは・・・。」



は、本当に可愛い。



照れている彼女を、思わず押し倒したくなってしまう。



けれど、今はまだ我慢。



そのかわり、俺は彼女を後ろからきつく抱き締める。




















「誰にもやらんからの・・・。」