「何書いてんすか?」
君と、日記
「交換日記。」
「ゲッ!!きもっ!!ってか、男と!?」
「死にたいか・・・・・?」
何が悲しくて、男と交換日記だ。
俺には、そんな趣味は持ち合わせていない。
赤也、バカか?
どうして、そういう答えに辿り着けるんだ。
ある意味、尊敬に値する。
「へぇ・・・・・さんと、交換日記?」
「そうじゃ。」
「なんか、今時変じゃねぇ?交換日記なんてよぉ。」
「死ね。ガム野郎。」
の悪口を言うなって・・・・何度言えば、分かるんだ?
そんなに、怖い思いをしないと分からないのか。
一体、どの位の悪口を言えば、気が済むんだ。
それとも、あれか?
愛情の裏返しなのか?
「だってよぉ。あの女、おれに菓子くんねぇんだぜ?マジありえねぇ。」
「当たり前じゃ、ボケ。」
俺が、やるなって言ったんだ。
に、絶対にやるなって言ったから、はやらないんだ。
気付けよ、馬鹿ブン太。
「はぁ・・・・そろそろキエロ。」
もう少しで、が来る。
それまでに、日記を書き上げてしまいたい。
それなのに、こいつ等がいたら、書けるものも書けない。
書けませんでした。
だから、明日まで待って下さい・・・・じゃ、駄目だ。
は、一度も忘れない。
それなのに、この俺が忘れてどうする?
「えー・・・・・何書いてるか、見せろよ。」
「フザケンナ。」
「良いじゃないっすか。仁王先輩。」
「駄目。」
何故、見せる必要がある?
これは、俺とだけの日記。
他の奴には、絶対に見せない。
二人だけが、知っている日記。
見せたくない。
絶対に、嫌だ。
「良いじゃねえか、見せろよ!」
「・・・・・・・・返せ。」
「良いじゃん。少し見せろよ。」
「返せ。」
それ以上、触るな。
汚れる・・・・。
「ブン太・・・・・。」
俺は、交換日記を奪い返そうと、ノートを掴む。
だが、ブン太も簡単には渡そうとしない。
「お、おい・・・・ブン太、返してやれよ。」
「うっせぇなぁ。ジャッカルだって見たいだろ?」
「馬鹿!お前と一緒にすんな!!」
ブン太の力が、怯んだ。
今だ_____そう思った。
「「あ・・・・・・。」」
考えが、甘かった。
“怯んだから、奪える”
そう考えた、俺が馬鹿だった。
「・・・・・・・・・。」
「に、仁王・・・・わる「煩い。」
煩いよ、本当に。
お前等、一体何なんだよ。
ふざけるなよ・・・・・。
そんなに、面白いのか?
俺が・・・・・俺が、傷付かないと思ってるのか?
そうだとしたら、それは大きな間違いだ。
勘違い。
思い違い。
の所に、行こう。
本当の俺を、出せる彼女の元に。
俺が、俺でいられる場所。
は、安らげる場所を作ってくれる。
どんなに嫌な事があっても、といられれば忘れられる。
「・・・・・・・・・・。」
歩いた。
とにかく、歩いた。
に会うために、歩き続けた。
「雅治・・・・?どうかしたのですか?」
「・・・・・・御免。」
「・・・・・・・・・?」
「・・・・・・・・御免。」
御免。
今は・・・・これしか言えない。
こんな俺だけど、抱き締めてクダサイ。
そう思いながら、俺はしゃがみ込んでしまう。
その場にしゃがみ込んだ俺を、は優しく包み込んでくれた。
俺は、泣いてしまった。
余りに、君が優しいから。
何も聞かずに、抱き締めてくれた君が、愛し過ぎるから。
こんな俺が、どうしようもなく悔しいから。
“御免”以外の言葉を、何も言えずに、しゃがみ込んでしまっている俺が、憎いから。
俺は、卑怯なんだ。
「また、新しく始めましょう。」
あの後、が俺に言ってくれた言葉。
彼女は、怒らなかった。
寧ろ、微笑んでいてくれた。
まるで、今までの事がなかったかの様に。
“気にする事は、何もありません”
優しく、諭してくれた。
「俺、に助けられてばかりじゃの・・・・。」
君は、俺をどれ位救ってくれたんだろう。
同じ状況で・・・・・俺は、君を救う事が出来るだろうか。
ありがとう、ありがとう、ありがとう、アリガトウ。
この言葉を、いくら綴っても足りない。
だけど、ありがとう。
「一緒に、買いに行きましょうか・・・・。」
「行く。」
新しい、交換日記。
前のノートは、破けてしまったけれど。
もう、文字が所々読めないけれど。
明日から、白いページに綴っていこう。