出会おう。
俺達には、それが出来ると信じているから。
始まりと終わりの狭間で
始まりの終わり。
終わりの始まり。
俺達の関係の終わりは、世界の終焉の様なモノだ。
俺は、勝手にそう定義した。
定義してしまった。
そして、その定義は、変わる事はない。
彼女さえ、いてくれれば・・・・構わなかった。
「遅くなってしまったの・・・・・。」
「気にしなくて、良いってば。」
「・・・・・・・・・・。」
別に、詫びを入れた訳じゃ無い。
ただ単に、自分に言った言葉なのに。
何を、勘違いしているのだろうか。
勘違い。
それは、時に怖く感じる。
もしかしたら、勘違い程、怖いモノはないんじゃないかという位。
(雨が・・・・降りそうじゃの。傘、忘れてた。)
濡れたくない。
いや、俺みたいな人間は、濡れてしまえば良いのかもしれない。
ずぶ濡れになるまで。
風邪を引いたって、構わないから。
「あ・・・・・雨・・・・。」
隣にいる女は、濡れるのが嫌らしい。
何か叫びながら、雨宿りする為に、走り去って行った。
そんな女を、追い掛けることはしない。
服が濡れていっても、関係なしにその中を歩いていく。
きっと、自宅に戻る頃には制服が凄い事になっているだろう。
親に、叱られるかも知れない。
「冷たいの・・・・やっぱり・・・。」
本当に、風邪を引くだろう。
そうしたら、テニス部は暫く休ませてもらおう。
「全く。昨日濡れてきたからよ!自業自得だわ!!!」
「そんなに・・・叫ぶの・・・止めてくれんかのぅ・・・。」
思った通り。
あの後、俺は風邪を引いてしまった。
自業自得。
それは、分かっている。
それを覚悟で、濡れて帰ってきたのだから。
勿論、部活も学校も休み。
39度という高熱で、学校には行ける訳がない。
今日は一日、大人しくしていよう。
(たまには、こういうのも楽しいかも知れないのぅ。)
俺は、暫く眠りにつく事にした。
今は、それが一番良いに決まっているから・・・・・。
“意気地無しね”
女が、笑っている。
上の方から、俺を見下ろしながら。
“私達、本当に出会えるかどうか・・・・・・。”
よく見れば、女は俺を見ていない。
俺の存在は、視界から削除されているみたいだ。
じゃあ、誰を見ているんだ?
“もし出会えなかったら・・・・・オワルわよ。”
『オワル』
女は、そう言った。
俺には、意味が分からなかった。
女の視線を辿っても、その先には誰もいない。
“これが、最期。私にとって。勿論、貴方にとっても。”
最期?
何が、最期になってしまうのだろうか。
尋ねたいと思っても、声がでない。
なぁ・・・・・・アンタは・・・・・・・。
「・・・・・・・変な夢じゃの。」
汗が、凄い。
着ている服を、着替えなければいけない。
ベッドから、怠い身体を起こし、着替え始める。
あの夢は、何だったのか。
一体、誰と巡り会いたかったのだろうか。
もし会えなかったら、どうなってしまうのだろうか。
(ま・・・・・俺が考えても、仕方なか・・・・。)
無意味な事は、辞めた方がいい。
俺は、考えるのを止めて、再び眠りについた。