誰でも良い訳じゃない。
いつか・・・と願って
貴女だから、好きになった。
貴女じゃなければ、好きにならなかったかもしれない。
俺が、本気で恋をした相手には、好きな人がいた。
彼女は、実らない恋をしていたんだ。
一体、何時になったら他の男に視線を向けるんですか?
俺は、彼女を見掛ける度に、そう感じていた。
そんなに、あの人への想いが強いんですか?
俺では、駄目なんでしょうか?
代わりは、確かに嫌ですけど、何時か貴女が、俺を見てくれるならば、今はそれでも構いません。
「やっぱりさ、駄目なのかな?あの娘じゃないと。」
先輩は、遠くを見つめていた。
そんな先輩を見ると、何故か悲しくなってくる。
悲しむ位なら、もう見なければ良いのに。
悲しい恋なんか、しないで下さい。
俺が、貴女を幸せにしてみますから。
先輩だけを、想う自信があります。
「長太郎。御免ね。私は、君に愚痴を言ってばかりだよね。情けないなぁ・・・・。」
「良いんですよ。先輩が、それで楽になるなら、俺は、何時だって聞きますから。」
今だけ・・・・今だけは、唯の相談相手。
けれど、その内・・・・俺の事を、一人の男として見てくれますよね?
俺は、貴女じゃなければ駄目なんです。
貴女じゃなければ、意味が無い。
無意味で、生きていたって、仕方が無い位に。
「長太郎ってさ、優しいよね。なのに、何で恋人がいないの?」
「さぁ・・・・何ででしょうね・・・。」
ソンナコトヲキカナイデクダサイヨ・・・・・。
哀しかった。
胸が痛くなった。
どうして、そんな事を言うのだろう。
先輩は、俺の気持ちに気付いていない。
気付こうともしない。
先輩の心を占めているのは、俺じゃないから。
「長太郎?」
先輩が、俺の顔を覗き込んでくる。
思わず、顔を逸らしてしまう。
とても、恥ずかしかったから。
「な・・・んでもない・・・・です・・。」
俺の顔は、絶対に赤くなっている。
鏡を見なくても、分かる。
あぁ・・・・先輩と、早く恋人同士になりたい。
けれど、今は、言えない。
囁く事も出来ない。
“愛してます・・・・。”
その言葉を、何時か言える日が来る事を願って・・・・・。