俺は、欲しいんです。












































貴女を


































































俺の、誕生日。



そして、バレンタイン。



二つが、同時にやってくる。



今日程、自分がこの日に生まれた事を恨んだ事はなかった。



母さん、どうして俺は、この日に生まれたの?























(なんて・・・・ね。考えたって仕方がないじゃないか。)





























両親が、悪い訳じゃ無い。



誰が、悪い訳でもない。



だから、他人を羨んでも意味が、ない。











































































“はい、これ”

































































あの人は、俺にチョコレートをくれた。











































































“沢山、作っちゃったの”




















































あの人が、悪いんじゃない。



でも・・・・でも、俺としては知らない方が良かった。




























































“鳳君、人気あるよね”








































































違う。



全然、違いますよ。



俺は、人気なんかいらない。



本当に、欲しいものが手に入るなら。



人気なんか、無意味なんですよ。



































































「呆気ないな。」





俺は、何をやっていたんだろう。



一人で、何を?







































知っていましたか?



俺が、貴女を好きだって。



ずっと、見つめていた事を。



貴女と話しをしていて、どれだけ緊張したか。



距離が近付くにつれて、この気持ちがどんなに強くなったか。



きっと、知らないで終わるのだろう。



そうなったら、俺はどの位、この気持ちを引きずるんだろうか。


































一生?



















死ぬまで?





































































「鳳君。」





さん・・・・。」





「捜したよ。随分と・・・・ね。御蔭で、大分走らされた。」

















捜した・・・って・・・・どうしてだろう。



俺を、捜す理由があるのかな。



義理だけど、チョコレートを貰ったし・・・・・。



別に、委員会とか日直でもない。



捜す理由が、見つからない。








































「ふぅ・・・・鳳君。今から言う事、黙って聞いててよ?」





「え?あ・・・・うん。」

































何か、悪い事をしたかな。



失言を、しただろうか。



それとも、チョコレートを貰う時の、表情が悪かっただろうか。





















































「あ・・・・・あの・・・ね。」



さんは、言葉に詰まっているみたいだった。



どうしたんだろう。



彼女の、言いたい事が分からない。






























































「えぇい!こうなったら、自棄よ!!鳳君が、好きです!一年の時から好きでした!」






































































「・・・・・・・・・・・・・え?」


































































「き、今日ね?誕生日でしょ?もうさ、諦め切れなくてね。告白させていただきました!ご無礼を!」
































































「・・・・・・無礼なんかじゃないよ。」











「はい?」




























俺は、さんを引き寄せた。



まさか・・・・こんな日がくるなんて。



彼女を、抱き締める事が出来る日が、来るなんて。






































一体誰が、予想した?


























































「俺も、好きだよ。」



「う、嘘!!鳳君、私をからかおうったって無駄だからね!」



「いや、本当。」















彼女の、頬に触れる。



紅潮している、可愛い頬に。


























「素晴らしい誕生日プレゼントを、有り難う。」