それが君
の
「またやってしもた・・・・・。」
今日は、何回目だろうか。
数えるのも、嫌気がさしてくる。
一体、どうしてこうなるのだろうか。
涙は、見たくない。
けれど、応える事は不可能だ。
彼女達に、気持ちがあるように・・・・・自分にも、気持ちがある。
だから、自分の気持ちを偽って、付き合うなんて事は出来やしない。
「あかん・・・・どないしたらえぇんやろ・・・。」
周りと仲良くしたいが為に、優しくしてしまう。
その優しさが、勘違いを生み出してしまう。
これでは、悪循環だ。
かといって、酷い扱いをする訳にもいかない・・・・・。
「忍足君。何頭を抱えているの?」
「あ・・・・か・・・どないしたん。」
「それは、今私が言った台詞。真似をしないで頂戴。」
クラスメイトの、。
いつの間に、居たのかと思っていたら・・・・・俺が来る前から、この場所に居たらしい。
何で、気付かなかったのだろうか。
まさか、独り言まで聞かれていたとは・・・・・。
「忍足君は、面倒見が良すぎるんじゃないの?」
「そんな事、あらへんて・・・・。」
に相談した後、言われた台詞が“面倒見が良すぎる”。
しかし、俺はそれ程良いだなんて思っていない。
良い奴なんか、周りにゴマンといるじゃないか。
「あのさ、忍足君は馬鹿?私は、別に周りなんかと比較して言っているんじゃなくて・・・・忍足君一人を対象にしてるんですけど?」
「俺・・・・・一人?」
「そう。君、一人。忍足君は、面倒見が良すぎる。ある程度、距離を置くのは大事じゃない?
深く繋がれば繋がる程、傷付いた時の傷は大きくなる。・・・・・・お互いに・・・だけどね。」
自分が、そうじゃないと思っていても・・・・・相手によって、受取方が違う訳で。
今までの俺は、彼女達と深く繋がりすぎたのだろうか。
“広く浅く”が、良い。
は、そう言っていた。
自分が、深く付き合いたいと思うなら・・・・・“狭く深く”にすれば良い。
そうも、彼女は俺に告げた。
“まぁ、その優しさも、面倒見の良さも、忍足君の長所なんじゃない?”
「長所・・・・・ね。」
本当に、そうだろうか。
俺の、長所なのだろうか。
の、あの言葉・・・・・。
どうしてだろうか。
忘れる事が、出来ない。
きっと、彼女が言ったあの言葉は、俺はずっとずっと忘れないだろう。
清々しい気分だ。
この場所に来た時から見ると、晴れ晴れとした気持ちになった。
(これは・・・・・に感謝せなあかんな・・・。)
明日、御礼を言おう。
俺は、そう決心して、この場所を後にした。