テニスをしている真田は、格好良かった。
不
覚
なんと言う事だろうか。
真田が・・・・真田が、あんなに格好良かっただなんて!!!
私、不覚でした。
いつもの真田は、只のクラスメイトとしか思っていなくて。
一人の、男だとは感じていなかった私。
今日の、昼休み。
突然、真田にこう言われた。
『。テニスに興味があるんだってな。』
『は?私そんな事・・・・・。』
『興味があるなら、今日の放課後テニスコートに来い。見学して構わないからな。』
『いや、だから・・・・・私はね・・。』
『用件は、それだけだ。じゃあな。』
こんな感じでした。
ってか、人の話を聞きましょうよ!!!
私が、何時興味あるって言ったんだ?
可笑しくない?
だって、真田と話をした事なんかないんですよ?
挨拶位は、したかもしれない。
だけど、そんなに記憶ないし・・・・。
それが、突然こうだから。
私は、正直驚いた。
真田が、私に話し掛けてくるなんて。
「参ったなぁ・・・・。」
私は、行く気がなかった。
だって、興味ないし。
だけど、親友の香澄は、“行け”と私に命令してきた。
良いよね。香澄は、彼氏居るんだから。
私は、テニス部に彼氏居ないし、興味ないんだから行ったってしょうがないじゃない。
時間の無駄よ。時間の浪費。
だけど、今はそうは感じていない。
私は、真田に釘付けになってしまった。
あの、真剣な表情。
ボールを見据える瞳。
部員達に、指示する姿。
あぁ、何て良いんだろう。
どんな真田でも、よく見えてくる。
私って、単純なのだろうか。
単純だって、良いか。悪くない。
私は、今日、真田に心を鷲掴みされた気分。
悪くはない。これを、恋と呼べると、私は、信じてる。
ただの、クラスメイトから恋人へ。
そういうのって、良くあるよね。
私も、その一人になるだけ。
真田、私は、狙った獲物は逃さないからね。
覚悟しておきなさいよ?
今日は、不覚だったけど。不快じゃなかった。
騙されたのも、良い騙され方だったと、私は思う。
誘ってくれた、真田に感謝しよう。
そして、命令してくれた香澄にも。
明日から、真田にアプローチをしないと。
さぁ、どんなアプローチをしようか。
私は、そんな事を考えながら、帰路に着いた。