めでたくない。
全く、こんな日なんか来なければ良かったのに。
Always, because it was on side
俺の誕生日だったのに。
だから、凄く良い日になるって・・・・そう思っていたのに。
全然、そうならなかった。
俺は、今日は絶対に良い日なんだから、好きな子に告白しようと決めていた。
結構仲が良く、雰囲気も悪くなかったから・・・・・・と思ったのが、悪かった。
そう、彼女には恋人がいたんだ。
全くそんな雰囲気を出さなかったのに、よりによって今日になって分かるなんて。
「ついてないよ。本当に・・・・ねぇ、何で?!俺、そんなに悪い事したっけ?ねぇ!!」
「煩い奴だな。したと思えば、したんだろう。それだけだ。大体、私にそんな話をするな。」
クラスメイトのは、俺を邪険に扱う。
そんな彼女だけど、俺の話を暗くなるまで聞いてくれた事もある。
俺はその時、すごく感謝した。
何故なら、落ち込んでいたから。
あの時も、俺はフラれて落ち込んでいたのを、は慰めてくれた。
「いや、だけどね?好きだったんだよ、あの子がさ。それを誕生日に言う?“恋人がいます”ってさ!!」
「言うタイミングは、人それぞれだな。それをどうこう文句言ってどうするんだよ。お前だって、今日の今日まで聞かなかったんだろ?仕方ないだろうよ。」
うっ・・・・・それを言われると、辛い。
確かに、俺は確認しようとしなかった。
だって、確信していたから。
俺が好きな様に、彼女も俺を好きなんだろうって。
「俺の誕生日ってさ、ラッキーな日だと思っていたんだよね。ほら、自分の産まれた日は、やっぱラッキーが良いでしょ。」
「そうだな。だが、そうじゃないって事が分かって良かったじゃないか。
それにな、千石。その女だけしかこの世に存在しない訳じゃないんだから、そんなに落ち込むな。
お前なら、大丈夫だ。きっと、お前の事を良く理解してくれる女が現れるさ。」
“それまで、色々経験しろ。”
は、俺の机に何かを置いて図書館へと向かって行ってしまった。
後に残された俺は、机に置かれた物を見つめる。
何だろう・・・・これ。
開けてみて良いのかな?
なんだか、緊張するな。
「・・・・・・・・ん?」
中には、お菓子と手紙が入っていた。
これって、高級なチョコレートだよな・・・・・。
い、良いのかな?
でもプレゼントだし、有り難く貰っておこう。
この手紙は、何だろう。
「何々・・・?」
“先ずは、誕生日おめでとうと言っておこう。”
手紙の最初には、そう書かれていた。
全く、らしい書き方だな。
思わず俺は、笑ってしまう。
“誕生日の日、お前はフラれるだろう。何と無くだが、第三者の私には、そんな予感がしている。
まぁ、私の予感なんか当たらないかもしれないがな。何しろ、超能力じゃないから。”
へぇ・・・・・何で分かったんだろう。
意外だな、言ってくれれば良かったのに。
そうすれば、俺はこんなに悲しむ事はなかったのにな。
“ま、フラれても、お前なら直ぐに違う女に食い付くだろうしな。心配はないだろう。
誕生日がどんな日になるか分からないが、お前がいつか幸せになる事を願っている。”
文章は、これで終わりになっていた。
最初から最後まで、らしいよ。
これで終わりかなと思った時、一枚の紙が、床に落ちた事に気が付いた。
「・・・・・・???」
俺は、紙を拾い上げた。
そこに書かれていた文字に、驚いてしまった。
読み終わった瞬間、慌てて教室を出て行く。
の所に行かないといけない。
その紙を見たら、そう感じてしまった。
は、まだ図書館にいるだろうか。
もしかしたら、違う場所に行ってしまったかもしれない。
けれど、俺には絶対に捜し出せるという確信が持てた。
「いた・・・・・。」
は、中庭にいた。
気持ち良さそうに、木陰に座り込み、眠っている。
そんな彼女の隣に、起こさない様に、俺は座る。
「・・・・・有り難う。」
俺は、眠っている彼女にお礼の言葉を囁いた。
彼女が書いた紙に書かれた言葉・・・・それは・・・・。
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“I wait with anytime.”
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