気付かなかった。
駄目な、人間
気付かない。
気付かなかった。
違う。気付かない振りをしていただけなんだ。
彼女は、悪くない。
悪いのは、自分。
俺は、一体何をしていたのだろう。
後悔は、大きくなっていくばかりで、止まることを知らない。
覚えてくれそうに無い。
原因は、俺の方にある。
彼女は、いつも言ってくれていた。
俺に、愛の言葉を囁いてくれていたのに。
俺は、その想いに、気付かなかった。応えようとしなかった。
ただ、笑顔で受けただけ。
”環君は、私の事をどう想っているの?”
泣きながら、はそう言った。
ねぇ、。
俺は、駄目だな人間だね。
何も分かっていなかった。君の事を。
俺がいない、小さな部屋の中で君は、泣いていたの?
俺の前では、嬉しそうに笑っていた。
だから、は、何も不満がないと思い込んでいた。
こんな自分に、腹が立つ。
結局、には何もやってやれなくて。
与えてあげたものは、何もなくて。与えてもらったものが大きい。
今、俺の隣に彼女はいない。
は、イギリスに留学してしまった。
俺の隣は、空いたまま。
あるのは、空間だけ。ぽっかりと、空いてしまった。
俺の心と同じ様に。
”環君は、私の事が必要ないんだよ。私は、そう思う。”
は、言った。
空港まで、見送りに行った時に。
笑顔だった。
けれど、嬉しそうではなくて、悲しそうな・・・・・。
”違う
”と言えなかった。
どうして、言える?
否定する資格なんて、俺には無い。
彼女を、大事にしていなかったのだから。
これは、気付かなかった俺への罰だ。
。こんな駄目な俺だけど、帰って来たら、伝えたい。
”有り難う”という、感謝の気持ちと、”好きだ”という、愛の言葉を。
その時、君はどういう表情をして、どんな台詞を言うのだろうか。
俺は、待とう。
君が帰ってくるその日まで・・・・・。