「くぅにぃ!!」
可愛いあの子、
「、今日も来ていたのか?」
。
俺の隣に住む、五歳の可愛い可愛い女の子。
俺は、彼女を目に入れたって、痛くない。
は、俺の方に小走りでやってくる。
そんな彼女を、俺は抱き上げてやる。
軽い。
何時も、思うが・・・・彼女は、軽い。
それこそ、空気みたいに。
大袈裟な例えかも知れないが、一番分かりやすい例えだと思う。
「。食事は、しているのか?」
「し、してるよ!してるしてる!!」
明らかに、“していない”と分かる反応。
俺は、思わず笑ってしまう。
余りに、可愛い反応だったから。
時々、思う。
彼女の仕種は、犯罪的な・・・・・否、犯罪と言っても過言でないと。
「ど・・・どうして笑うの?!」
「が、可愛い嘘を付いたからさ。本当は、食べていないんだろ?」
「う・・・・・・・・。」
思わず、唸ってしまう。
そんな彼女に、頬擦りをしたくなる。
「俺が食べさせてやるから・・・・きちんと食べるんだぞ?」
「う、うん!、頑張る。」
・・・・・・・・・やはり、犯罪だ。
危うく、理性が失われそうになったじゃないか。
まだ・・・・まだ、駄目だ。
俺は、落ち着かなければ。
冷静な、手塚国光でいなければ。
一回、二回、三回・・・・・と、軽く深呼吸をする。
すると、少し落ち着いた感じがした。
不思議なものだ・・・・・。
もう、大丈夫。
先程までの俺とは、違う。
「やぁ、国光君。」
と二人で、夕食を待っていたその時だった。
俺の天敵と言っても、良い。
否、向こうが勝手に、俺を敵とみなしたらしい。
笑顔を作っていても、その背後に漂っている黒い物体が、恐ろしい。
(まぁ・・・・俺は別に、恐ろしいとは感じないが・・・。)
そう、目の前に笑顔で仁王立ちしている男。
この人こそ、の父親。
俺が、彼女が母親譲りの顔・性格・・・等で良かったと心底思った相手。
「お義父さんじゃないですか。」
「ちっがーう!!義父じゃなーい!!!!」
「、聞いたか?お前の父親じゃないらしいぞ。」
「パパ・・・・は、パパの子じゃないの・・・・?」
「うっ・・・・・・違う!漢字が、違うぞ!!!お前は、パパの子だ!!!」
・・・・・・フッ・・・勝ったな。
これでの父親は、暫くは何も言えないだろう。
それに、あの件は彼女の母親に了承済みだ。
何かしようものなら、不二の黒魔術でどうにかしてもらうとしよう。
これも、と俺の幸せの為。
例え未来の義父だろうが、邪魔をするならただじゃおかない。
「、泣く事はないさ。俺がお前の側にいてやるから・・・・・。」
「う、うん・・・くぅにぃ・・・大好き。」
「俺も、が好きだ・・・・・。」
俺は、好きなんだ。
がいれば、黒魔術だろうが義父だろうが、世界政府が邪魔しようが、俺は負けない。
そうだ、この九歳の歳の差なんか・・・・・関係ない。
「ほら、・・・・口を開けろ。」
俺は、を膝に乗せ、御飯を彼女の目の前に持ってくる。
夕食は、毎日と二人で食べる。
これは、二人の約束事。
小食なを、健康にする為に。
今も、昔も。
そして、この先も。
「美味いか?」
「うん!美味しい!!」
・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・。
「く、くぅにぃ!!!」
「・・・・済まない・・・・。」
お前の笑顔は、俺の心臓に多大なダメージだ。
天使の微笑み。
俺だけに、微笑んでいてくれ・・・・・。
例え、俺の心臓に多大なダメージがこようとも、笑顔が見られるなら、それさえも耐えようじゃないか。
今の俺に、敵はなし・・・・・・・・だ。
・・・・・・・後日。
「くぅにぃ!!、隣の子に告白されたよ!!」
「・・・・・ほぅ?名前は、何て言うんだ?」
「ん・・・・と・・・湊君!」
湊・・・・ね・・・。
抹殺候補、第二号にしてやろう。
邪魔な芽は、摘んでおくに限る。
(・・・・・後、十一年・・・か・・・・。)
ふと、考えていた。
後、十一年経てば・・・・結婚は可能だ。
「、要らないモノは排除しても構わないよな?」
「?うん。くぅにぃがいらないなら、もいらない!!」
「そうか・・・・・・。」
ならば、徹底的に。
容赦なく、木っ端みじんに潰すとしよう。