・可愛いあの子(手塚国光奮闘記)









































































『くぅにぃ!』







"どうした?。そんなに慌てたら・・・・・綺麗な肌に傷が付いてしまうぞ。"







『大丈夫!あのね・・・・・・・ね・・・?』







"恥ずかしそうにモジモジしているも萌え・・・・・じゃない。何だ、言いにくい事なのか?"








『うぅーん・・・・・あのね?、出来ちゃったの!恋しちゃったの!』







"なっ・・・・・・こ・・・ここここここ恋?!まさか・・・・俺にか?"
































































































『ううん!湊君に!』








































































































「何だと!!!!!許さないぞ!!!お前は俺のよめ・・・・・・・・・・・・ん?」














何だ・・・・・夢だったのか。






夢と言っても、何て最悪な夢なんだ。








しかも、やけにリアル過ぎて、寿命が縮みそうだった・・・・・。








くそっ・・・・・湊め・・・あの後散々不二に頼み込み、高額の金額を支払ってまで呪いをかけてやったのに・・・・諦めが悪い奴だな。








やはり、顔を知らないと効果が薄いのか?








それとも、もっと憎悪を膨らませて送り込んでやらないと分からないのか?








それか、不二の黒魔術は効果がないとでも・・・・・・否、あいつの魔力は俺が、保証できる。








何だったら、テニス部員の誰かを餌食にして・・・・・駄目だ駄目だ。








そんな事をしてしまったら、テニスの大会に支障が出てしまうな。








は、俺のだと証明してやれば良いのか?








保育園に乗り込んで、キスの一つや二つ・・・・・はぁ・・・・いや、待つんだ。お前は、冷静沈着な手塚国光だ。








俺よりも、小さな男にムキになってどうする?








同レベルになる必要は、全くないんだ。








何時も通り、行こうじゃないか。

































































だが・・・・・・・・・・・・。




































































「油断は禁物だな。」















































































































「おはようございます。」














自分の部屋で、落ち着きを取り戻した俺は、何時ものように青学の制服に身を包み、朝食を食べるために下へと向かう階段を降りていく。








母は、朝食をテーブルに並べ、お祖父様と父は、既に席に着いて新聞を読んでいたり、お茶を飲んでいたりしていた。








相変わらず・・・・・皆、起きるのが早いな。


































































「そうそう、国光。貴方知っていた?」







「?何をですか。」















食事中、母さんが嬉しそうに俺に尋ねてきた。













何の事なのか解らなかったので、そう返答したら、"あら、貴方知らなかったの?"と駄目だしされてしまった。








いや・・・・・・・駄目だしする前に、何について知っているのか知らないのかを聞いていただきたい。








そうすれば、少しは返答のしようがあるというのに・・・・・・・。








そんな事を、思っていた俺に対して、母さんはこう言った。





























































































ちゃん、出来ちゃったらしいわよ!」














































































ゲホッ!ゴホッ!ベキッ!バキバキバキ!!!!!










































「わ、儂の大事な箸が!!!!!儂の大事な大事な盆栽がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」















お祖父様が何か叫んでいたが、気にしない。








まぁ、心の中で謝っておくとしよう。








申し訳ありません、お祖父様。








ですが俺が気にする最優先の順序は、何があろうとも、の事だけなんです。








そう・・・・・・例えテニス部の誰かに何があろうとも、例え家が火事で全焼しようとも、何がなんだろうと、が一番だ。


















































































そのに・・・・・そのに・・・・・!!!!






















































































「一体何が出来たというんです!!!母さん!!!!」











「嫌だわ、国光。何時もの冷静な貴方は何処に行ったの?

何時も思うのだけれど・・・・・貴方、ちゃんの事に関しては、何時も敏感に反応するわよね。」











「良いですか?は、俺にとって大事なんです。大事なんですよ?大事すぎて、大事すぎて、大事すぎて仕方ないんです!

例え過保護と罵られても、笑われても、馬鹿にされても、どうだっていい!」




























































「落ち着きなさい、国光。」







































































突然、水を掛けられた。







一体、何をするんですか母さん。







確かに、冷静さを取り戻しましたよ?







ですが、どうしてバケツなんですか。







どうして、氷水なんですか。






そもそも、どうしてバケツがそこにあるんですか!?







しかも今、時期的に冬に近い秋なんですよ?







あれですか?







息子の俺に、風邪を引いてしまえというんですか!?













































「ウフフ・・・・そんな事無いわよ。
ただ、私の隣にバケツがあってその中身は、氷水で、たまたま貴方に掛かってしまっただけよ。」















笑顔で言い切るとは・・・・・流石は、俺の母親だ。








尊敬に値する行為だな。








しかし、この後・・・・・・母さんに、に何が出来たのかを教えてもらった俺は、氷のように固くなってしまった。




















































































「ふぅん。恋人?」






「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」






ちゃんに、恋人が出来ちゃったんだ。手塚・・・・・見事に恋に破れたんだね。」







「不二・・・・・・黙れ。お前の黒ま「僕のせいにしないで欲しいな。手塚が、ちゃんに振られただけでしょ?違う?」







「違わない・・・・・・・・じゃない!!俺は、まだ振られたわけじゃない!」









「フフ・・・・・冗談だよ。そんなに、ムキにならなくても良いんじゃないかな?」









「て、手塚・・・・・・落ち着こうじゃないか。不二も、そんなに刺激を与えちゃ・・・・・あぁ・・・・胃がまた痛くなりそうだ。」








「大石が、胃潰瘍になる確率、100%だな。」








「そんな事、どうでもいいよ。兎に角、僕が悪いんじゃないからね?君が悪いんだよ?

ちゃんを、ちゃんと捕まえておかない君が。(あぁ・・・・人の不幸ほど可笑しいものは無いね。)」

































不二の奴め・・・・・そんなに俺がフラれて嬉しいのか?







そんなに、人の不幸が面白いのか?































そんなに・・・・・・・。


















































そんなに・・・・・・・・!!!!!









































「全員、グラウンド五百周だ!!!!!」







「「「何で俺達にまでー!!!!!!」」」







「煩い・・・・・・・・連帯責任だ・・・・・。」



































































次の日、テニス部員はグラウンドに倒れていたところを発見されたとかされないとか・・・・・・・・・?






















































































「全く・・・・・・・。不二の奴。」






「ふっくんがどうかしたの?くぅにぃ。」







「いや、不二の奴が、俺がに振られ・・・・・・・ってだと!!!!!!」







「ん?だよ?変なくぅにぃ。」























あぁ・・・・・・マイ・エンジェル。









やはり、は俺の癒しのオアシス。







いくら疲れていたとしても、疲れなんて直ぐに吹っ飛んでしまう。








一体、どうしてお前はこんなに可愛いんだ?








いつか、変なおじさん(の父も含む)が、連れ去ってしまうんじゃないかと、俺は日々心配しているんだ。







そうだ、赤い靴を履いた女の子みたいに・・・・・・異人さんに連れられてしまう可能性だって、有り得ない事は無い。




















「心配だ・・・・・。」







「?なにが心配なの?くぅにぃ。」







「ん?"心配"という感じを覚えたか・・・・は頭が良いな。俺が、キスをしてやろう。」









「ホント!?、もっともっとがんばる!!!」




























ヤ、ヤバイ・・・・・・以前から思っていたが、・・・・・お前は、天使でもあり、犯罪者だぞ?









俺は、もうお前にぞっこんラヴだ!










俺が"好きだぞ"と言ったら、も笑顔で"も、くぅにぃがダイスキ!"と、元気良く言ってくれた。









あぁ、神よ。










本当に、この世に神が居るというなら、俺は信じても構わない。










信じてやろうじゃないか、神という存在を。




































「なぁ、。ちょっと質問があるんだが・・・・・・・湊君という男の子と、付き合っているのは・・・・本当か?」







「湊君?ううん!だって、くぃにぃの事がダイスキだもん!」







「そ、そうか・・・・・俺が、ダイスキか。俺は、を愛しているんだがな。」






「アイシテル?それ、おいしいの?」





「ちが・・・・・いや、良いんだ。が、俺のことを好きだって解っただけでも。」







「ちがうよ?くぅにぃ。は、ダイスキなの!ダイスキ!!」










・・・・・・・・・・・・・・あぁ・・・・そうか。







“好き”と“ダイスキ”は、全く意味が違うな。








これは、に一本取られてしまった。

















俺の。俺だけの、

















これからも、どうか俺だけを見ていてくれないだろうか。

















俺には、しかなくて。

















俺には、が必要で。

















なしじゃ、生きていく気力もない。

















俺の世界は、お前が中心に廻っている。

















俺の目の前から、が居なくなったら・・・・・・なんて、考えただけでも怖い。

















君は、俺の光。

















君は、俺にとって太陽。


















君は、俺にとって生きていく糧。

















君は、俺にとっての総て。








































・・・・・・俺の傍に居てくれるよな?
















































そう尋ねたら、は元気良く頷いてくれた。








約束だ。







君は、俺の傍に居て輝き続けて。







俺は、君を護り続けるから。














「さぁ、夕飯を一緒に食べようか。お腹が空いただろう?」






「うん!くぅにぃが、に食べさせてね!!」















フッ・・・・・愚問だな。







に食べさせるのが、俺の役目だ。







食べさせるのは、当然だろう?







その後は、お前をたっぷりと可愛がってやるからな。







勿論、お前の父親の目の前で。






























































おっと・・・・・・・俺にはまだするべき事があった。







そう・・・・・・憎い奴を、地獄に堕とさなければならない。







と手を繋ぎながら、もう片方の手で携帯を取り出し、ある相手に電話する。





















『も・・・・・もしもし・・・・・・・・・・・手塚・・・・一人先に帰るなんて、駄目じゃ・・・ないか・・・。』






「何を言っている。此れは、部長である俺の特権だ。そんな事より、乾・・・・お前に頼みがある。」






『く・・・・ると・・・・思ってた。100%の確立で・・・・な。』






「そうか。それは、凄いな。流石青学のブレーンだ。」






『不二と一緒に・・・・・例のヤツを実行に移せばいいんだろう?』





「あぁ、そうだ。物分りが良くて俺は助かるぞ。じゃ、明日楽しみにしている。」






『なっ・・・・あし「ブツッ・・・・・・。今夜のメニューはなんだろうな、。」













乾の文句なんて、聞きたくも無い。







俺には、そんな事に時間を割いてなんか居られない。






と一緒に会話をする時間が無くなるからな。






他のヤツとなんて、会話をしてられない。












、将来は俺のお嫁さんだからな。」





「うん!!!」






俺は、の小さな小さな小指と自分の小指を絡ませて、一つの約束をした。