_____________________気付けば、俺は彼女を好きになっていた。










































〜 恋 〜
















































初めてだった。

誰かを好きになったのは。

初めてだった。

誰かを想ったのは。












初めてだった。

本当に初めてだったんだ。

まさか、こんな感情が自分にもあるんだと気付いたのは。

この気持ちを持った俺は、当然の事ながら戸惑った。

どう処理すればいいのか・・・・そんな事も分からなかった。

今まで、テニスしか興味がなかった・・・・異性に興味を持った事がない俺が興味を持つなんて。

しかし、そんな俺が、彼女ー ーと出会う事で何かが変わっていった。















欲しいと願った。

彼女を。

どんな事をしても良い。ただ、彼女が欲しい。

この感情をどう処理すればいい?

は、俺の存在を知っているのだろうか。

いや、知っていても彼女は




















”同じ学年で、生徒会長で、テニス部の部長”



















としか思ってはいないのだろう。

それ以上の事は知りたくない。

知るのが怖かった。









だが、好きなんだ、彼女を。

愛しているんだ。こんなにも。









しかし、運命は時に残酷で、

俺がそれの感情に気付くのは少し遅すぎたんだ。


に・・・・恋人?」

「そう、氷帝の忍足。君も知っているでしょ?」

「・・・・・・あぁ。」













氷帝。

その学園名は、よく知っている。

忍足。

その名前も、俺は知らないわけではない。

忍足侑士ーーーー。

氷帝学園テニス部に所属している、”天才”と呼ばれる男だ。




「其奴が、恋人・・・・・。」




には、恋人が居た。

俺は、この瞬間に最初の恋をして、最初の失恋をしたんだ。






あぁ、夢ならば覚めて欲しい。

周りの音も・・・・風景も・・・・全てが幻ならば良いのに。

どんなに願っても、これが現実で。

どんなに願っても、時は戻らない。


これも、俺にとって通らなければならない ”路” なのだろうか。














もっと早く気付いていれば・・・。


もっと早く彼女と出会っていれば・・・。


そんな事は考えても仕方がない。


いまは、ただ・・・・・俺が出来る事は・・・・・・。































・・・・・・。」

屋上で、空を見上げながら俺は最愛の彼女の名前を呼んだ。

この日、諦めると決意した俺は最初で最後であろう、彼女の名前を・・・・。

この想いは、彼女に伝わることなく終わってしまう。


この気持ちを整理するのには、相当な時間が掛かるだろうが

俺はそんなのは覚悟していた。

そうだ。この気持ちは、いつか風化してしまうとは思えない。

だが、それも良いだろう。


どんな事があっても、一日は終わっていく。

そして、新しい一日が始まっていくんだ。




















「綺麗・・・・だな。」




俺は、暫く沈んでいく夕日を観ながら動けないでいた。












親愛なる


君がいつまでも笑顔でいられるよう・・・


心から君の幸せを願うことを


今、此処に誓う。