私は、祝うしか無かった。




















































あなたを祝福 する























































「留学する。」











突然、そんな事を言われた。




嘘だと思った。






冗談を言って、私を驚かせたいのだろうと思いたかった。

けれど、そう出来る筈がない。





だって、そう言っていた彼の表情は、凄く真剣だったから。

そんな人を、笑い飛ばす事は、私には出来ない。




























































「・・・・・・だから、祝福する・・と?」



「だって、私には、それしか出来ないじゃない。国光は、テニスが好きなんだから・・・・。」



確かに、遊び程度とか、趣味で終わりにさせる気なのに、留学するならば、私は、反対をする。

けれど、国光の場合は、違う。

だから、私は、笑顔で“頑張って”と言うしかなかった。

























































「馬鹿だなぁ・・・・・。」



























































突然、隣にいたが、呟いた。



「どうせ、馬鹿ですよ。はぁ・・・何で賛成しちゃったんだろう。」





溜息を付きながら、机に額をくっつける。





国光は、先日留学先に、旅立ってしまった。

着いたら、直ぐに手紙を送ってくれるって言っていたけれど、まだ来る気配は、ない。





約束してくれた筈なのに。

彼は、約束を破る事なんか、一度も無かったのに。




何でも良い。

連絡が、欲しい。

不安で仕方が無い。

安心させる事が出来るのは、国光だけなのに。





向こうで、何かったのだろうか。

もしかして、好きな人が出来たとか?

国光に限って、そんな事・・・・・。























































「大丈夫だよ。手塚が、浮気なんかするか。

今までだって、これからだって・・・・・。自信持って、待っていれば良いんだ。もし、そうだとしたら、私がぶっ潰す。」



「いや、潰さなくて良いよ。、それは犯罪になっちゃうから。」



「そうか?物的証拠が残らなければ、大丈夫じゃないか?後は、アリバイとか・・・・。」









いや、そういう問題じゃ無いんだけどなぁ・・・。

でも、彼女の言葉で、気が楽になった気がする。





応援するしかないと、悲しくなったあの日。

悲しくて、涙が止まらなかった。

けれど、あれで、良かったと思う。

きっと、遠く離れていても、やっていける。




















































そう考えていた時、携帯が、着信を伝える為にけたたましく音が鳴った。














勿論、相手は分かっている。






























「もしもし・・・・・。」















































何から話そう。

そんな事を考えながら、私は、久々に聞く彼の声に、耳を傾けていた。