「誕生日?だから??」
彼女に、冷たく遇われました。
素敵な一日に
今日は、私の誕生日。
それなのに、彼女は何もくれる気配がありません。
これは一体、どういう事でしょうか。
私は、好かれていないという事ですか?
まさか、さんに限って・・・・そんな筈は。
「さん。あの・・ちょっと宜しいでしょうか。お話があるのですが。」
「話?何だよ。言ってみろ。」
さんは、読書を邪魔されたのが気に食わないのか、不機嫌そうな口調。
私より、読書ですか。嫉妬しますよ。本当に・・・・。
「実は、今日は、私の誕生日なのですが。さんは、何もくださらないのですか?」
「誕生日か。それはそれはオメデトウ。」
さんは、それだけ言うと、すぐに読書の世界へ入ってしまった。
明らかに、”おめでとう”が棒読みでしたよね。
私、貴女の恋人なんですよ?
なのに、そんなに冷たいのには、何か理由があるのでしょうか?
いや・・・・・確かに、以前私は、さんの誕生日を忘れてしまいました。
もしや、その仕返しですか??
ですが、さんは、根に持つタイプではない筈です。
私は、そう信じたい。
さんは、そんな女性ではありません。多分・・・・・。
「誕生日プレゼントを、くれない?」
「そうです。さん、くれないんですよ。これは、私が好きじゃないという事なのでしょうか?
どう思いますか?柳君。私達、同棲を始めて、かれこれ半年は経っているのに・・・・・。」
「分からん。アイツが、何を考えているのか。
俺にも想像がつかないからな。とにかく、今回は諦めろ。」
諦めろって・・・・そんなの、無理に決まっているじゃありませんか。
さんに貰えないのでしたら、こんな日は、要りません。
私は、貴方に祝ってほしい。それが、私の望みなのですから。
「さん!!!!」
「今度は、何事だ。比呂士。それから、もう少し小さい声にしろ。周りに、迷惑が掛かるだろう。
お前なら、分かるだろう。常識が、ないわけではないのだから。そんなに、怒鳴ったって意味ないぞ。
虚しいだけだ。それとも、虚しくなりたいが為に、怒鳴っているのか?」
「ち、違います。そうじゃありません。ですが、本を読むのを止めてください。
私より、本がお好きならば、もう何も言う事はありません。そのまま、読んでいて下さい。」
少しキツイ言い方かもしれませんが、私だって、真剣なんですから。
私がそういうと、さんは、本を閉じて机の上に置いてくれた。
やはり、私の事を好きなのだと、感じる。
たった、本を読むのを止めてくれただけなのに。
「で?話しって、何だ。」
「さんは、私の事をどう想っているのですか?」
「好きだ。」
さんは、即答する。
恥ずかしがる訳もなく、堂々と、私を真っ直ぐ見つめながら答えた。
”好き”
ならば、何故・・・・何故、私に何もくれないのですか?
祝っても、くれないのですか?
さん、教えてください。
「恥ずかしいだろうが。大馬鹿者が。大体、同棲だぞ?同棲しているんだぞ?
なのに、何故、学校であげなければならないんだ。可笑しいじゃないか。そうだろう?馬鹿馬鹿しい。
他の女共と同じかよ。私は、恋人なんだろうが。お楽しみは、とっておけ。
グズグスグズグス・・・・比呂士、お前、煩いぞ。男なら、黙って待ってろよ。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・と、言う事は。
さんは、私へのプレゼントがあると言う事ですか?
本当ですか??
よ、喜んでも良いんですよね。
私は、嬉しさの余り、さんを抱き締めた。
さんは、恥ずかしそうにしていたけれど、そんなのは関係ありません。有り難うございます。さん。
私、帰ってからのお楽しみにしておきます。
あぁ、どんなプレゼントでしょう。
今日は、帰りにケーキを買って帰りましょう。
さんが好きな、紅茶も買いましょう。
幸せな、一日にしましょう。
早く私と、貴女の二人の時間を過ごせる事を願っています・・・・・。
さん、私は、本当に貴女が好きです。