夢を見た。
それは、とても、幸せな夢。
いつかは・・・・。
病室。
そこが、今、俺のいる場所。
ここに来て、どれ位の時間が過ぎていったのか。
考えたくもない。けれど、考えてしまう。
何も、やる事がない。
運動も、出来ない。
大好きな、テニスだって。
ただただ、外の景色を見る毎日。
時々、屋上には、行くけれど。
最近は、行く気もしない。
けれど、今日は、良い夢を見た
と、二人。
色々な場所に行くんだ。
楽しかった。夢だと思うまでは。
夢だと、思った瞬間、涙が出てきた。
悲しくなった。
現実は、こうなんだ。
俺は、退院出来るまでは、此処にいないといけない。
は、俺の恋人。
どんなに、遅くなっても必ず来てくれる。
それが、彼女の日課になりつつある。
いつもいつも、済まないと思っている。
こんな病室。
もっと、行きたい場所があるだろうに。
けれど、は、何も言わない。文句の一つも。
、我が儘を言っても良いんだよ?
俺は、君の我が儘なら、何だって聞く。
嫌とも思わない。
君の願いは、俺の願いみたいなモノ。
だから、言って欲しい。
けれど、今の俺には、限度がある。
この場所から、抜け出す事は不可能なんだ。
は、それを分かっている。
だから、何も言わないのかも知れない。
本当に、本当に、御免。
君には、辛い思いばかり。
こんな俺でも、傍にいてくれるのだろうか。
いつかは・・・いつかは、君の願いを。
そう、俺が病室から、抜け出せたら。
叶えよう。叶えてあげたい。
その時が来たら・・・・・遠慮無く言って欲しい。
俺に、遠慮は要らないんだ。
恋人同士だろう?
赤の他人じゃない。
初めは、赤の他人でも、今は違うのだから。
もっと、彼女の笑顔が見たい。
そう思いながら、俺は、再び眠りについた。