精市が、退院した。
長い時間。
無事、手術も成功し、精市は、晴れて退院。
良かった。本当に、良かった。
私は、不安だった。
成功する確率が、低かったから。
私は、精市がもし、いなくなったらどうしようか悩んでいた。
そんな事は、無いと思いながらも・・・・・・。
考えていると、ますます不安になる、
だって、精市が居ない世界なんて、考えられないから。
私は、生きていけないから。
精市。本当に良かったよ。
「。只今・・・・。」
私は・・・・私と、精市は、二人きり。
他には、誰もいない。
私は、精市に抱き付いた。
久しぶりの、精市の腕の中。
病室に、居た時とは違う。
あぁ、嬉しいよ。貴方が今、此処にいる事が。
こうして、存在している事が。
「ねぇ、。」
彼が、私に、話し掛けてきた。
「俺さ、本当に生きてる事が嬉しくて仕方ないよ。
生きている。ただ、それだけで嬉しいんだ。今までは、そんな事を感じなかった。
だけど、今は違う。息をしているんだよ。呼吸を。色々なモノを見られるんだ。俺は。
感じて・・・・一日一日、新しい発見がある。何て良い事なんだろうか。も、そう思うだろ?」
精市は、本当に嬉しそうだった。
幸せそうだった。笑顔で、私にそう言った。
あぁ、本当に、元気になったんだね。貴方は。
これは、夢じゃないんだよね。
ここまで来るのに、相当な時間が掛かった。
長かった。
一日一日、一分、一秒が長く感じていた日々。
それも、今日で終わり。
明日からは、時間が過ぎるのが、早く感じてしまう事だろう。
だって、私の隣には、精市がいる。
大好きな、彼が。
さぁ、明日は何をしよう。
学校も、部活も休み。
二人きりで、居られる時間。
大切にしよう。
これからの時間も。
今までの、時間も無駄ではなかったから。
決して、忘れない。
想い出として、とっておくの。