逝け
あーぁ。
あぁーぁ。
まただ。
またなんだ。
オレってば、何時もこうだ。
どうして、こうなんだろう。
なーんて、考えるだけムダムダ。
考えてるだけ、時間勿体ないし。
あーぁ・・・・・・。
本当に、あーぁだぜ。
他の単語が、ないのかって?
ねぇよ。
この惨状を、見てりゃあソレしか出てこねーよ。
オレ、王子だし。
絶対に、後悔はしない。
絶対に、泣いたりしない。
絶対に、後ろは振り向かない。
「またヤったの。ベル王子。」
「何だよ・・・・・か。」
「何だ、死体か。」
彼女は、モノを蹴る。
者ではなく、物でもなく、モノを。
血の海の中、全く動こうとはしない肢体を。
迷う事なく、悲しむ事なく、憐れむ事もなく。
「随分、派手ね。血が辺り一面に飛び散っているじゃない。」
「仕方ねーだろ?逃げ回るんだからよ。少し可愛がったらこれだぜ。」
「遊ぶからよ。ま、私の服が汚れたわけじゃないから構わないけれど・・・・・って、触るんじゃないわよ。汚れるじゃない。」
「ウルセー。オレがこうしたいんだから、こうさせろよ。王子のいう事聞けって・・・・・。」
そう言って、抱き付いて離れないオレを、は抱き締めてくれた。
内心、“仕方ない”とか“全く、私は家来じゃない”とか思っているんだ。
口では、言わないけれど。
「毎回毎回・・・・・今度から、他の奴に抱き付きなさい。」
「嫌だ。」
コイツ、分かってない。
俺が、どうしてに抱き付くのか。
どうして、他の女に抱き付かないのか。
(殺人犯すのは速いくせに、恋愛は超が付く程鈍臭いよな・・・・・。)
でも、言ってやらない。
今は、まだ言わない。
早く自分から気付けよ。
もし、気付かずにどっかいっちまうなら・・・・・・。
俺以外の元に行くってんなら・・・・・・。
その時は、迷わず。
迷わずに・・・・・逝きやがれ。