「・・・・・あのさ。」
Capelli
ウ゛ァンパイアこと、が転校してきて早一ヶ月。
彼女は、全く学校に馴染んでいない。
本人は、馴染もうとも思っていないらしい。
「なぁ、人間。何故、群がるんだ?」
「はぁ?しらねぇ・・・ってか、俺の名前教えただろ!覚えろよ!!」
「あぁ・・・・済まないな。忘れた。」
くそっ・・・絶対に、嘘だ。
忘れただなんて、分かりやすい嘘を付きやがって。
しかも、スッゲェ笑ってるし!!
あぁ、何なんだよ。
会いに来ないって、気になっていた俺が馬鹿みたいじゃねぇか。
大体、どうして俺の近くに寄ってくるんだよ。
女なら、女と仲良く話しをしていれば良いじゃないか。
「なぁ、人間。」
「だーかーらー!!ブン太!ブン太って呼べ!!!」
「この私に、命令するのか?」
うっ・・・・睨むなよ。
俺は、に睨まれるのが一番怖い。
真田に殴られるより、親に怒られるより、彼女の睨みは怖い。
直ぐに、殺されてしまうんじゃないかって、思ってしまう。
「ふぅ・・・・ブン太。どうして人間は、過去を知りたがる。」
「んぁ?そんなの知らねぇ・・・・って名前で呼んでくれてんじゃん。」
「まぁな。お前には、色々と習いたいからな。」
色々ってなんだよ、色々って。
本当に、変な奴。
こうやって、外見だけみると、普通の女なんだよな。
なかなか可愛いし・・・・綺麗だし・・・。
「って、何言ってるんだよ。」
「どうした。遂に頭が可笑しくなったのを自覚したか?元々可笑しい奴だと思っていたがな。」
「うっさい!俺は、正常だっての。可笑しくなんか、なってねぇよ。」
「そう。」
なんか、やっぱり馬鹿にされている。
何故、馬鹿にされなきゃいけないんだろう。
俺、馬鹿じゃないのに。
頭だって、可笑しくないのに。
頭・・・・頭と言えば・・・・・・。
「お前さ、髪染めたら?」
「は?髪は、染められないだろ?やはり、頭が可笑しいな。」
ウ゛ァンパイアは、髪を染めないのか。
また、新たな発見。
あ、今度メモすっかな。
忘れたりして、怒られたら怖いし。
この間は、苺のケーキを忘れて怒られた。
どうやら、珍しかったから食べてみたかったらしい。
変だよなぁ・・・・俺からしたら、の方が可笑しい。
「で、髪を染めろと言うのは、何故だ?」
「日本人は、黒髪だから。」
「貴様は、紅いじゃないか。」
「俺は、良いの!!」
「ふん・・・・説得力ないな。」
は“却下だな”と、言った。
似合うと思うんだけどなぁ。
その髪よりも、周りの皆が振り向くと思うけど。
(・・・・・イテッ。何だこれ。)
何か、痛かった。
胸が、痛かった。
でも、理由は出てこなかった。
どうしたんだろう。
が、皆に見られるのが嫌だなんて。
「そんなに、私が人に見られるのが、嫌?」
「・・・・・・おいおい、人の心を読むなって。」
「読まなくたって、表情で分かる。」
嘘だ。
俺、そんな顔なんかしてない。
絶対に・・・・絶対に、していない。
「髪・・・・黒い方が好きか?漆黒・・・闇・・・・・か。私には、相応しいな。」
「相応しくねぇよ。」
俺は、の髪に触れる。
銀髪の、綺麗な髪に。
の髪は、太陽の光に当たると、キラキラ輝く。
月の光に当たれば、色白い。
怖いくらい・・・綺麗なんだ。
彼女の存在を、出張している。
そんな髪に、俺は触れた。
「・・・・・・やっぱり、このままが良いな。」
「ブン太は、やっぱり変な奴だ。」
そうかもしれない。
この時の俺は、怒る気がしなかった。