「マネージャー?」
決定
幸村が、俺に伝えて来た。
を、マネージャー候補にしたいって。
冗談じゃねぇよ・・・・・をマネージャー?
死にたいのか?
「構わないだろ?ブン太。」
「構わないってよ・・・なんで俺に聞くんだよ。」
「だって、恋人なんだろ?」
幸村、どうしてそうなるんだ。
俺は、恋人だって宣言した覚えがねぇよ。
確かに、仲が良いかもしれない。
沢山、この世界の事を教えているから。
今だって、一緒にいる。
最近は、喧嘩もしなくなった。
「にしても・・・・・マネージャーねぇ。どうして、今更?」
「だって、一人じゃ大変だろう?いつまでも、彼女一人じゃ可哀相だ。」
「ふぅん・・・・・でもよぉ、はやらねぇぞ?」
「ん?俺は、彼女を恋人にする訳じゃないよ?」
・・・・・・・・・・・・違うって。
そういう意味で、言った訳じゃないんだけどよぉ。
どうしてわかんねぇのかな。
あ・・・・・何か、頭が痛くなって来た。
最近の俺ってば、苦労ばっかじゃん。
「今日のお昼休み、面接をするから・・・・彼女に伝えておいてね。」
「・・・・・・自分で、伝えてくれぃ。」
「駄目だよ。俺は、他の部員にも言わなきゃいけないからね。」
幸村は、立ち上がって去ってしまった。
はぁ・・・・やってられない。
取り敢えず、に伝えるしかないか。
俺は、仕方なく幸村の指示に従う。
アイツは、すると言ったら、する人間だ。
それに、逆らう訳にはいかないから。
「マネージャー・・・・何だ、それは。」
「うーん・・・・そうだなぁ・・・タオル渡したり、ドリンク作ったり、部誌を書いたり・・・・まぁ、色々あるぜ。」
「それを、私にやれと?」
「いや、まだ決まった訳じゃねぇよ。候補に挙がっただけ。昼休みに来いだと。」
「断る。」
は、即答した。
見事な早さだった。
俺、お前の事尊敬するぜ。
でも・・・・でもな・・・・来ないっていうのは、問題だ。
「いいか、。お前が面接を受けなかったら、俺大変な事になるんだぜ?」
「ほう?ならば、その幸村を倒せば良いのか?」
「馬鹿!倒せば良いって問題じゃねぇんだよ!」
は、何でもかんでも倒そうとする癖がある。
確かに、手っ取り早いかもしれねぇ。
でも、幸村は大事な親友だし、頼りになる部長だし・・・そんな事をされたら困る。
「とにかく、面接に来てくれよ。」
俺は、に再度伝えて部室へと向かった。
____一人目。
「頑張ります!頑張りますから、メルアドとか教えて下さい!ついでに、誰か恋人になって下さい!」
「ふぅん・・・この子は誰が指名したの?」
「お、俺・・・・・。」
「却下。」
____二人目。
「君は、早起きは得意?」
「え〜・・・・・苦手。だって、面倒じゃん?」
「・・・・・・・・・・・・フフッ。帰れ。」
____三人目。
「やぁ、さん。」
「・・・・・・・・。」
「マネージ「断る。」
は、幸村の言葉を遮り、拒否の言葉を発した。
勿論、幸村は面白くなさそうな表情をする。
「おい、貴様。私はならないぞ。」
「どうして?」
“どうして”
そう言った時の幸村の目は、笑っていなかった。
スゲェ・・・・怖い。
何だよ、この緊迫感。
そして、この雹でも降ってきそうな空気は。
「ねぇ、どうして?」
「断る。」
「やりたくないの?」
「断る。」
は、頑なに拒んだ。
どうしても、やりたくないらしい。
俺の側にいるのが・・・・嫌なのかな。
いや、違う違う。
そうじゃない。
マネージャーをやるのが、嫌なんであって・・・・・俺の側にいるのが嫌なんじゃない。
「ブン太と、長く一緒にいられるよ?」
「だから何だ。」
(・・・・・イッテェ・・・何だよ・・・これ・・・・・。)
「一緒にいたくないの?」
「貴様に関係あるのか?くだらない・・・・・。」
幸村・・・・・それ以上聞かないでくれよ。
「ブン太は、嫌い?」
「関係ない。」
痛い・・・・・凄く痛い。
前に感じた痛みよりも、酷い痛みだ。
「こんな戯れ事に付き合う気はない。ブン太とどうだとか、煩い奴だな。どうだっていいだろう。ブン太なんか。」
「丸井君・・・・どうしたんです?」
「あ・・・・・?」
「泣いてるんか?」
「・・・・・・・・?」
俺が、泣いている?
まさか・・・・何言っているんだよ。
俺が、泣く筈ない。
でも、何か頬が濡れてる。
俺は、自分の頬に触れてみた。
「あ、あれ?俺・・・・・何で泣いてんの?」
本当に、泣いていた。
涙が、沢山溢れていた。
どうしてだろう。
どうしてなんだろう。
「悪りぃ・・・・顔洗ってくらぁ。」
部室を、飛び出した。
顔を洗うなんて、言い訳。
ただ、タオルで顔を拭けば良いだけなんだから。
あの場所には、いたくなかった。
だから、飛び出した。
「ブン太、泣かせたね。」
「貴様がな。」
「君・・・・・なかなか言うね。俺が、怖くない?」
「怖い?全然だな。」
「君、本当になる気はない?」
「・・・・・・・・・・フン。」
「はぁー・・・・。気持ち良い。」
俺、何やってんだろ。
何で、泣いたんだろう。
の反応が、冷たかったからか?
でも・・・・・でも・・・・・・・それじゃあ・・・・。
「ブン太。」
「・・・・・。」
「悪かったな。」
は、俺の隣に座り込んだ。
今は、近くにきて欲しくないんだけどよ・・・・俺としては。
「ブン太、私はマネージャーとやらをやる。」
「・・・・・・・・・はぁ?!」
驚いた。
まさか、がマネージャーをやるなんて。
あんなに、嫌がっていたのに。
やる・・・・・やるって事は、他の奴と仲良くなるよな。
なんか・・・なんか、嫌だ。
そんなの、嫌だ。
「やると言っても、ブン太専門だ。」
「んな!!!」
二度も、驚かせるなよ。
本当に、驚いたよ。
俺専門だって?
なんだそりゃあ!
幸村が、許したのか?
あの幸村が?
「宜しくな、ブン太。」
凄く、嬉しかった。
他の奴と、仲良くならないかもしれない。
そう思ったら、更に嬉しくなった。
これは・・・・・・。
これはよ・・・・・。
俺が、を好きみたいじゃねぇか?
そう考えたら、何だか急に、を女として意識し始めた自分が、此処にいた。