「邪魔よ。」
どきなさい。私の為に。
「何だよ、突然。」
「そこは、私の席よ。」
この女は・・・・・突然、何を言い出すんだ。
しかも、初対面の俺に向かって。
俺は、こんな女は知らない。
しかも、先にいた俺に向かって、どけっていうのか?
「嫌だね。」
「拒否権は、行使できないわよ。どきなさい。」
「断るって言ってんだろ?」
「・・・・・・貴方、一回逝ってみる?」
女は突然、俺に対して何かを突き付けてきた。
“逝ってみる?”と・・・・・縁起の悪い事を言いながら。
俺としては、逝きたくない。
逝くのには、まだ早い。
「・・・・・どくから、その鋭いカッターナイフを、俺の首から退かしてくんねぇ?」
「初めから、そう言えば良かったのよ。」
「ヘイヘイ・・・・・っと。」
さよなら、俺の指定席。
さよなら、俺の昼寝場所。
折角、良い場所を発見したっていうのに。
なのに、この女に一瞬にして奪われちまった。
(チクショー・・・・・女に負けるなんて・・・・。)
悔しい。
こんなに、細くて・・・・力がなさそうな女に、負けてしまうなんて。
あぁ、嫌だ嫌だ。
こんなの、テニス部の奴等に見られたら、馬鹿にされるのが目に見えてる。
「格好悪ぃ・・・・・。」
「何がよ。」
「お前には、関係ねーだろぃ?」
「そ。私に負けて、悔しい?」
面白そうに。
可笑しそうに。
楽しそうに。
愉快・・・・・そうに・・・。
笑っていた。
ワラッテイタ。
笑う事を・・・・・止めなかった。
「そんなに・・・・・可笑しいのかよ。」
「可笑しい・・・アハハハッ・・・可笑しいから、笑うのよ。」
コイツ・・・・俺、苦手かも。
どうも、好きじゃない。
初対面なのに、こんな態度を取られて・・・・場所は、奪われて。
この出会い、最悪じゃねぇか。
こんなの、ドラマだけの中で起こっているだけかと思ったのに。
実際でも、有り得るんだ・・・・・な。
「丸井ブン太。」
名前を、呼ばれた。
俺は、コイツの名前を知らないのに。
「こういう出会いでも・・・・良いと思わない?」
「はぁ?お前、何言ってるんだよ。」
何を、言い出すんだ。
こんな出会いも・・・・・良い?
いや、本当に何言ってるんだよ。
冗談じゃねえよ。
よくねぇよ。
俺、嬉しくない。
「よ。」
「あ?」
「。それが、私の名前。」
「ふーん・・・・・・・・・・・・・・・・・・?」
。
何処かで、聞いたような名前だな。
・・・・・・・・・・・・・?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「だとぉぉぉぉぉ??!!!!!」
「何よ、その変な声は。」
思い出した。
思い出したぞ・・・・・。
入学当時、不良の奴らを一掃し、自分の配下に置いたとか言う噂が流れた。
それが、。
そのが、俺の目の前にいるなんて。
「信じられるかよ・・・・・。」
「何よ、私が貴方を好きだというのが、信じられないと言うの?」
「・・・・・・・・・・・・・はぁ?!」
「人の話しを・・・・・聞いていなかったみたいね。」
丸井ブン太。
高校生で、初めて女に首を絞められました。
感想としては、死ぬかと本気で、思いました。
「好きだと、言ったのよ。」
「ぐ・・・・ぐるじぃ・・・・・。」
「だから、貴方の恋人の席は空けておきなさいね。」
“ま、空けておかなくても、私が退かすわ。”
・・・・・・・・・・・嵐は、去った。
呆然としている、俺を取り残して。
「な・・・・んだったんだよ・・・・。」
頭を、整理しよう。
先ずは、それからだ。
「ったく・・・・・変な奴。」
初めては、苦手。
今は、変な奴。
じゃあ・・・・・次は、何だろう。
そう考えると、次にと会うのが、楽しみになってきた自分がいる。
でも俺・・・・・この先一体どうなっていくんだろう・・・・・・・・・・。