もう少し、ユウキ
があっても良いんじゃない?
「ふぅ・・・・・これだから草食動物の群れはムカつくんだよ。」
正直、腹が立つ。
弱い者が群れたって、弱いだけじゃないか。
どうして、群れるんだ。
どうして、存在するんだ。
邪魔なんだよ、邪魔。
僕の視界を、遮らないで欲しいよね。
全く・・・・・不愉快だよ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
一体、この状況は何なのだろう。
此処は、応接室。
僕の部屋であり、風紀委員の部屋だ。
まぁ、僕の部屋だけの方が正しい気もしないでもないけれど。
でも・・・・・。
「ねぇ、君何?」
「人間。性別は女。年齢十二歳。並盛中一年。あ、因みにまだ誕生日が来ていないので、十二歳ですので。」
「そこまで聞いていないよ。」
「そうですか。で、貴方は何?」
「ワォ。僕に質問?良い度胸じゃない。」
「それはどうも。」
褒めてないんだけど。
今すぐに、出て行って欲しいんだけど。
どうして、出ていかないのだろう。
邪魔で仕方がない。
邪魔、邪魔、邪魔。
良い迷惑だよ。
我が物顔で居座る、一年(の女子)。
「ねぇ、居なくなってよ。君、邪魔なんだよね。」
「私にとっては、貴方が邪魔で邪魔過ぎて仕方がないわ。」
「僕が・・・・・邪魔?この、僕が。」
「そう、邪魔。」
「・・・・・・良い度胸してるじゃないか。咬み殺してあげるよ。」
「殺したいなら、どうぞ?私は、死にませんから。御自由に。」
この女、頭可笑しいんじゃない?
酷い怪我負わせてやるって言っているのに。
そう言っているのに、怯えない。
怖がらないし、震えもしない。
咬み殺すって言ったのに、命乞いすらしない。
変だ、変すぎる。
落ち着いた態度も。
発している言葉も。
全てが全て、可笑しい。
狂って、狂って、狂いすぎている。
「僕は、女だからといって容赦しないから。」
「前置きが長い。もうこちらから行きます。」
立ち上がったのは、見えた。
この目ではっきりと。
問題は、その後だ。
「先程の威勢は、どうしました?まさか・・・・恐怖心を持ちましたか?この私に。この、に対して。」
「そんな事・・・・あるわけないだろ・・・・。」
馬鹿にするな。
この僕を。
雲雀恭弥を・・・・・馬鹿にするんじゃない。
「だから、そんな風に睨んだって、怖くないんですよ。」
「・・・・・・・髪、掴まないでくれないかな。」
トンファーを、振り回した。
顔面に当たる様に。
きっと、複雑骨折するんだろうな・・・・まぁ、構わないや。なんて思いながら。
「・・・・・・・・何で当たらないわけ?」
「“何で当たらないわけ?”ですか。気になります?
そんなの、決まっているんですよ。断定出来ますよ。断じて定めるのも可能です。」
それは。
それはね。
貴方より、ツヨイカラ。
「・・・・・・・・・・・・・。」
この敗北感。
味わったのは、二度目だ。
生まれて来てから。
この一年以内で。
僕は、二度も敗北感を味わってしまった。
「君、気に入らないけど気に入ったよ。」
「意味不明です。」
「分からなくても良いよ。分かっているのは、僕だけで十分だからね。」
分からなくて、良い。
どうせ、何を言っても分からないんだから。
僕が君を分からない様に、君にも僕を教えてやらない。
「勝手にいれば?僕は、構わないよ。」
ただね。
ただ、これだけは覚えておいて。
油断していたら、絶対に咬み殺してあげるから。
それまでは、絶対に他のヤツの元には行かないでよね。
「考えている事が、丸分かり。」
彼女は、言った。
見透かした様な、視線を僕に向けて。
「一緒に居て欲しいなら、そう言えば良いでしょうに。貴方、そんな事も言えないのですか?勇気が無い人ですね。」