大好きなのは、知っていた。
好きだった。
大好きだと、知っていた。
でも、勇気がなかった。
自信が、なかった。
こんな自分に、嫌気がさしてくる。
“伝えれば、良いだけじゃないか”と囁く自分。
“最悪な状況を、考えてみろ”と囁く自分。
(これでも、考えているさ・・・・・。)
頭痛が、してくる。
きっと、毎日寝不足だからだろう。
寝ようと、努めている。
だが、瞼を閉じれば・・・・彼女の事ばかり。
あぁ・・・・・好きなんだ。
俺は、何時も実感させられる。
が・・・・・好きなんだ・・・・と。
どの位、こんな風に感じて、此処まで来たのだろうか。
俺との距離は、“友人”という関係からは、縮まってくれない。
つまり、それが限度なのだろう。
“違うよ、崇。唯単に、崇が臆病なだけなんだよ。”
何時だっただろうか。
光邦に、そんな事を言われてしまった。
“臆病者”
痛かった。
悔しかった。
何も・・・・・言い返せなかった。
オクビョウで、臆して、何もしない。
「ふぅ・・・・・。」
深呼吸を、一回。
空気が、自分の肺を支配していく。
(気持ち良い・・・・・。)
清々しく、感じる。
。
俺の心の総てを、奪った女性。
君は、今何処にいるのだろうか。
捜したら、見つかるだろうか。
この、広い学園の中を・・・・・。
「・・・・・。」
彼女の名前を、呼んでみる。
絶対に、彼女の目の前では、呼べない。
呼んだ事が、ない。
「好きだ・・・・・。」
「何が、好きなんですか?」
「!!!!!!!!」
驚きながらも、声がした方に顔を向けた。
そこに居たのは、。
俺の、想い人。
「何が、好きなのですか?崇さん。」
「いや・・・・・。」
言えるはずが、ない。
今まで、練習すらしていないのだから。
否・・・・・練習したって、言えるかどうか分からない。
「は・・・・・どうして此処に?」
これ以上、この話題に触れたくない。
彼女にも、触れて欲しくない。
こんな所を光邦に見られたら・・・・・また何か言われるんだろうな。
それを考えると、自然と笑いが出て来てしまう。
「光邦さんに・・・・頼まれたんです。」
「光邦に?」
「えぇ、光邦さんが。」
彼女が言うには、どうやらホスト部に行く時間だったらしい。
俺とした事が・・・・・すっかり、忘れていた。
「済まないな。」
彼女に、一言礼を言い歩き出す。
「崇さん。」
歩き出す俺を、が呼び止めた。
「明日になったら・・・・・教えてくださいね。」
何の、話だろうか。
彼女の・・・・・の、知りたい事が分からない。
「崇さんが、何を好きなのか。」
“私の予想している言葉が聞けると良いのですが・・・・・。”
まさか・・・・・。
俺は、そう感じた。
俺の予想は、当たっているのだろうか。
出来れば・・・・・当たっていて欲しい。
「それでは、失礼します。」
「あ、あぁ・・・・・。」
は、去ってしまう。
俺は、そのまま彼女の背中を見つめる事しか出来なかった。
「明日か・・・・・。」
明日。
俺は、伝える事が出来るのだろうか。
“臆病者”に、ならないで済むだろうか?
否、不安がる事はない。
俺の予想が合っていれば、彼女は知っている。
彼女は、俺が好きな事を知っていた。
「侮れない・・・・・な。」
侮れない。
本当に・・・・・。
「眩しいな・・・・・。」
。
俺の、最愛の女性。
明日からは、恋人同士になれるだろうか・・・・・。