五月、緑が茂るあの日、僕等は再会を果たす。
春
私じゃなかった。
彼女は、仁王君を選んだというのだろうか。
私は、悔しかった。
だから、彼女と仁王君が仲良さそうにしている姿を見たくないが為に、視線を逸らす。
やはり、駄目なのだろうか。
どんなに頑張っても、仁王君には勝てないと言う事だろう。
(しかし・・・・こんな事で諦めてはいけませんね。)
今は、割り込むのはやめておきましょう。
負けた思いを、これ以上したくないですからね。
「何時見ても・・・・美しい方だ。」
「行かなくて良いのか?柳生、お前も気になる女なのだろう。」
突如、柳君が私に向かって、提案をしてくる。
私が、行くのですか?
いえ、彼女は私を必要としていません。
だから、私は行かない。
私は、そうする事を決めたから・・・・・。
「柳生、きんしゃい。」
・・・・・・・何故、仁王君に呼ばれたのか。
理由は、分かりません。
けれど、視線を元に戻すと、私に向かって手招きする仁王君と、軽く手を振りながら、微笑んでいるさんが視界に入って来た。
私も、入って良いのだろうか・・・・。
「柳生、指名されたんだ。何時までも意地を張らずに、行ってこい。」
「・・・・・・・・分かりました。」
柳君の言う通りかもしれません。
「仕方ありません、行くとしましょう。」
「全く、何時までも拗ねてるんじゃなか。」
「別に、拗ねてなんていませんよ。」
「二人は、仲が良いんですね。」
さんは、私達を見つめて、軽く笑った。
しかし、その笑顔は、私の好きな笑顔ではありませんでした。
彼女のお姉さんもそうですが、冷たい・・・・・どこと無く、儚い笑顔を浮かべていた。
どうして、そんな表情をするのでしょうか。
声は、凄く明るく楽しそうにしているのに。
まるで、チグハグ・・・・・表情と感情が、繋ぎ合わさっていない。
「六月か・・・・雨は、好きですか?」
彼女の突然の質問に、誰も答えられなかった。
