書き始め、
“好きですか?”
突然過ぎると、思う。
もしも、僕だったら・・・・と考えても、余りに唐突過ぎると思う。
それは、分かっているけれど・・・・・。
困ることだって、分かっていたかもしれないのに。
僕は、に言ってしまった。
取消は、無理・・・・・だよね。
「ご・・・・・ゴメン!!今の忘れて!」
「え?忘れる??」
「そ、そうそう。忘れて。僕さ、どうかしていたんだよ。」
隠れたい。
隠れる場所があったら、直ぐにでも隠れてしまいたい。
だけど、隠れた所でどうにかなるなんて事もなく。
(此処まで生きて来た中で、一番の恥かも・・・知れない・・・・・。)
今まで、悩んできたのに。
これは、無駄だったの?
あの時間は、何だったんだろう。
「紙と・・・・格闘してきたのに・・・・・。」
「紙・・・ですか・・?」
慌てて、我に返る。
今日の僕は、ドジばかりだ。
何も、声に出す事ないじゃないか!
僕は一体、何をしているのだろう。
もしかしたら・・・・・と、二人きりでいるせいかもしれない。
今、僕達の周りには、誰もいない。
もう、自宅に戻ったのだろう。
存在しているのは、静けさ。
そして、教室に差し込む夕日。
その夕日に照らされた、と僕。
そのせいで、僕は可笑しくなってしまったんだ。
あぁ・・・・こんな僕を、見せたくなかった。
誰でも、好きな子の前ではこうなってしまうのだろうか。
(帰りたい・・・・。)
馨・・・・・迎えに来てくれないかな。
タイミング良く、来てくれないだろうか。
「あの、光・・・・さん。」
「な・・・ななななななな何・・・!?」
の声に、思わず吃ってしまった。
お願いです、神様。
戻る事が出来るなら、此処に来る前の時に戻して下さい。
(・・・・・って・・・無理だよね。戻れるなら、皆戻ってるって。)
「あの、大丈夫・・・・ですか?」
「うん?うーん・・・・まぁ・・駄目って言えば、駄目。
大丈夫って言えば、大丈夫・・・・かな?で、何?今、何か言おうとしていたよね。」
僕の問い掛けに、“あ・・・・そうでした”と、彼女は苦笑しながら言った。
「本当に・・・・忘れて良いのですか?」
「え・・・・・・?」
「先程、“忘れて欲しい”とおっしゃいましたよね。私は、忘れて構わないのですか?」
「あ・・・・・それは・・・。」
忘れて欲しい訳じゃ、ない。
寧ろ、覚えていて欲しい位だ。
でも、忘れてくれたら・・・・クラスメイトでいられる。
万が一、覚えていてくれたとしても・・・・返事が、悪い方だったら嫌だよ。
だから・・・・・。
「うん。忘れてくれないかな?僕、かなりテンパってたみたい。」
上手く、笑えたんだろうか。
僕は、悲しそうに笑っていなかっただろうか。
本当は、忘れて欲しくなかった。
でも、こんな中途半端で格好悪い告白なんか・・・・忘れて欲しいとも感じる。
「分かりました。それでは、私はそろそろ・・・・・。」
「あ、あぁ・・・・そっか・・・・・。気をつけてね・・・・。」
「はい。光さんも、お気を付けて・・・・・・。それから・・・・。」
帰り際に、一言。
は、僕に向かって、一言だけ言った。
その時の僕は、信じられない気持ちでいっぱいだった・・・・・。
「あれ?今日も、挑戦してるの?」
「あ、馨・・・・・。」
その日の夜。
僕は、新しい便箋と向かい合っていた。
今度こそ、書けそうだったから。
勿論、最初から最後まで。
便箋は、自分で買った。
をイメージした、便箋を。
「よし、書きますか。」
飾らなくて、良い。
今の気持ちを、書いていこう。
短くは、纏めてあげない。
だって、への想いは、短く纏める事は不可能だから。
こうなったら、何十枚でも書いてやる。
(の困った顔・・・・・想像出来ちゃいそうだな・・・。)
は、困るかも知れない。
でも、きっと最後まで読んでくれる。
僕は、そう信じる事にした。
最初の行には、彼女の名前。
さぁ、君への想いを書こう。
夜更かししても、構わないから。
僕は、が好き。
ねぇ、。
この手紙で、僕の想いは伝わるかな・・・・・・?
