君の心の中に、隙間は・・・ありますか?
君の中に、自分は存
在するのか
「「さて、問題です。どっちが光で、どっちが馨でしょう!」」
「分かりませんわ・・・どちらなのでしょう。」
「馨君は、右ではないかしら?」
「当たり。良く分かったね。」
僕達は、笑顔で答える。
けれど、本当は、逆。
光が、右側。僕は、左側。
いい加減、分かってくれないだろうか。
あぁ、嫌になるよ。分からない人間ばかり。くだらない。
でも、分からなくて良い。
僕達は、僕達だけが、分かっていれば良いんだから。
だけど・・・・だけどね?
「「さん。」」
「あら・・・・常陸院様。」
僕達は、一人の女の子の前に立つ。
。
それが、彼女の名前。
彼女は、笑顔で僕達を迎えてくれる。
その笑顔・・・・僕は、好きで好きで仕方ない。
彼女は、僕にとって、安らぎの場所。光とは、また違う意味での。
毎日、会いたい。
毎日、同じ授業を受けたい。
沢山、話をしたい。
もっともっと・・・・時間を共有したい。
あぁ、何で学年が違うの?
どうして、一年違いで産まれてしまったの?
悔しいな。
どうせなら、後一年遅く産まれたかった。
親を恨んだって、仕方がないけれど。恨んでしまう時が度々ある。
「ねぇ、今日は、来れそう?」
僕は、に質問した。
今日は、ホスト部に来てくれるかどうか。
すると、の表情が曇った。
あぁ・・・・・・・今日も駄目なんだろうか。
は、初めて会った時以来、音楽室に来てくれない。一度も。
僕、何かしたかな。
でも、ホスト部の話以外は、楽しそうに聞いてくれる。
だとすると、嫌われている訳じゃない。
じゃあ・・・・・・・何?
何が、原因なんだろうか。
「なぁ、馨。思うんだけど、他に好きな男がいるんじゃないか?」
「光・・・・・それ、凄く痛いよ。僕、死んじゃうよ。
悲しくて悲しくて・・・生きていけないよ。」
そうだ、生きていけないよ。彼女に、好きな人がいるなんて事になったら。
「何だよ、それ。俺がいれば良いじゃん。」
「光・・・それもそうなんだけどさ。
でも、でもね?も、大事なんだよ。分かってくれる?」
そう、も大事。
光への”好き”と、への”好き”。
これは、違いがあるんだ。違う。違いすぎる。
同じ”好き”でも、違う”好き”。
「でもさ、良いじゃん。まだまだ、これから良い女が、出てくるんだろうしさ。」
「いや・・・・だからね。の変わりは、いないんだよ。
もし、より、良い女の人がいたとしても、僕は彼女が良いんだよ。」
「ふぅん。そんなに、良いんだ。わっかんないや。」
光は、手を頭の後ろに回す。
その表情は、”つまらない”と言いたげな、顔だった。
光は、恋愛に関しては、結構鈍感らしい。
まぁ、確かに、僕も鈍感だけど。
それは、自分で自分の気持ちに、気付かない振りをしていただけで。
実際は、会ってすぐに好きになっていたんだ。
恥ずかしい話だけど。これが、僕の初恋。
「はぁぁぁぁぁぁ・・・・・・・。どうしよう。どうしようどうしようどうしよう!!」
僕が、悩んでいたその時だった・・・・。
「そういえば、鏡夜。お前、婚約したんだってな。しかも、相手は、家の御令嬢と聞いたが?」
「あぁ、まぁな。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・何、今の話。
こん・・・や・・く・・・・?
が・・・鏡夜先輩と?
冗談でしょ。が、婚約しただなんて。
「ま、父も喜んでいるみたいだからな。
俺も、不服ではない。育ちも、地位も、良いしな。」
頭の中が、真っ白になる。
白・・・・白い。何も、考えられそうにない。
体が、震える。
視線が、定まらない。
どうしたら、良いの?
誰か、教えて・・・・・・。