君の心の中に、隙間は・・・ありますか?
君の中に、自分は存
在するのか
信じたくなかった。どうしても。
鏡夜先輩と、婚約?
そんなの・・・・そんなの・・・・!!!
「嘘だ!!!!」
思わず、叫んでしまった。口に出てしまった。
けど、そうなんだけど、信じたくない。
ねぇ、どうしてなの?
恋をするのは・・・・恋愛をするのは、自由なんじゃないの?
僕が、間違っていると言うの?
違う。
僕は、間違ってなんかいない。
僕の考えが間違っているなんて、誰も言えない。否定できるはずがない。
頭が、痛い。
誰か、この痛みをどうにかして。
僕は、どうにかなってしまいそうだよ。
鏡夜先輩、と婚約なんかしないで。そんなの、破棄してよ。
僕の為に。僕だけの為に。
潰してしまいたい。踏み潰してしまいたい。
粉々に。サラサラに。バラバラに。無かった事に。過去に戻りたい。
僕が、神だったら・・・簡単に戻せるだろうに。
それが、出来ない。
あぁ、どうしよう。どうしたら良い?
僕は、何も出来ないよ。動けない。
鏡夜先輩に、勝てる筈がない。あの人は、怖い。
怖い怖い怖い。
存在自体が怖い。
あの、人の心を見抜く瞳が怖い。
どうしても、怖くなって、太刀打ちが出来ない。
僕は、弱いんだ。
どうしようもなく、弱い人間。
けれど、・・・・君がいてくれたら、強くなれるんじゃないかって思ったんだよ。
本当に。これは、偽りの言葉なんかじゃない。
ねぇ、君の隣にいる事を許されるのは、鏡夜先輩だけなの?
僕は、間に入る事は、不可能なの?
もしも入れるなら、どうしたら入れる?
、会いたいよ。
君の、笑顔が見たい。
ずっと、見ていたい。
遠くからじゃなくて、の隣で。
周りに見せる笑顔とは違う。僕だけに、見せてくれる特別な笑顔を。
「馨。どうして、“嘘”だなんて、言えるんだ?」
声がした。
僕が、一番聞きたくない声が。
声の主に、視線を向けると・・・・その人物は、笑っていた。
不敵な・・・・・あの、何時も見ている笑い方。
余があって、強気な笑顔。
「別に。鏡夜先輩が、婚約者だなんて、信じられない感じだったからだよ。ただ、それだけ。それ以上の意味なんてないって。」
僕は、何時もの口調で話す。
頑張って。頑張って、感づかれていないか、緊張しながら。
そんな事をしても、鏡夜先輩は、気付いているんじゃないかと、自分で自分を嘲笑しながら。
「そうか。」
鏡夜先輩は、ただ一言。
本当に、一言しか言わなかった。
これは、どう解釈していいのだろう。
僕は、戸惑ってしまう。
敵に回したくなかった相手が、敵になってしまった。
信じられない様な、本当の話。
僕は、必死に考えた。どうやったら、を、鏡夜先輩から奪えるのか・・・・・・と。