「こっちこっち!!」


















































申し出


















































「こっちって、どっち?」



「だから、こっちっすよ!」



「あぁ、こっちね。」



「だー!!そっちは、先輩の自宅に向かう道っしょ!!!!」










相変わらず、元気が良すぎる。



あの後私は、昼ご飯に連れていかれ、遊園地に連れていかれ、
何とか先輩への誕生日プレゼント選びに連れていかれ・・・・・・・散々だった。










沢山はしゃいで、沢山歩き回って、何故まだそんなに元気なのだろうか。







私は、こんなに疲れているのに。





年齢は、一歳しか違わない。





それだけなのに、彼は元気だ。























「君、私はそろそろ帰りたいと願うよ。その願は、叶えてもらえないかな?」



「無理っす。諦めてくださいよ。」


















・・・・・・・・あぁ、駄目なのか。

十分付き合ったし、十分、彼の我が儘を聞いたはずなのに。

私の願いは、聞き入れてくれないと?



















「まだ夕方なんだし、俺、部活とかでなかなか遊べないんすから。」



「ならば、その何とか先輩とやらを誘ったら良いじゃない。」



「嫌だ。先輩じゃなきゃ嫌なんすよ。」














まだまだ子供だな。

幼いよ、君。














私だって、毎回暇な訳じゃないのに。

まぁ、そんな子供っぽい所が可愛くて良いという時もあるんだけれど。











「もう夕食の準備をしないと。君とは違って、用意してくれる人はいないんだよ。」



「大丈夫っすよ。」















彼は、笑顔で私の腕を引っ張っていく。

何が、大丈夫なのだろうか。

その根拠を教えてもらいたい。















いや、聞いたとしても答えられないだろう。

根拠なしに言っているのだから。




































































「此処っすよ。到着。」
























































「此処って・・・・ただの公園じゃない。」



「俺にとっては、違うの。此処は、先輩以外には教えない場所なんすよ。」














この場所が?






どの辺りが、特別なのだろうか。




















「私には、分からないな。」



「此処、俺が試合に負けた時に来るんすよ。で、一人で泣いたりしてんの。」


















そう言った彼は、恥ずかしそうに、笑っていた。



















「負ける事ないと思うんすけど、万が一そうなったら、此処に来て下さいよ。」
































































随分と弱気な発言だと思った。

彼らしくない。

何時もの彼ならば、こんな事を言う筈はない。






































「考えておこう。」






私は、彼の申し出にそう答えた。