君は、美しい。
NOではなく、YESと・・・。
「お嬢様。お手紙が来ております。」
「どなたから?」
「鳳鏡夜様からでございます。」
鳳鏡夜。
確か、鳳家の三男。
両親からは、候補者だと聞かされている人物。
写真を見た時に、私は余り信用してはならないと感じてしまった。
向こうからは、全く音沙汰は無し。
食事にすら、誘ってこない始末。
これは、完全に家を見下しているのか・・・・それとも、違う家と、契約を交わしたのか。
そんな事を考えながら、もう一年以上。
そんな人が、私に招待状?
今更過ぎる。
(これは、暇潰しに私を招待・・・・と受け取るべきなのかしらね。)
確かに、会って話はしてみたい。
そう思うけれど、このまま従うのも納得行かない。
向こうの思い通りになっている様な・・・・・。
「私、余り好きじゃないのよ・・・・ね。」
賑やかな場所は、行きたくない。
両親からも、なるべく行ってはいけないと注意を受けている。
元々、外へ出る事が好きではない私は、直ぐに了承した。
封筒の中には、手紙も同封されていた。
“嬢。この度、私が通う高校にて、パーティーがあります。貴女様の御両親には、既に了承は得ておりますので、来て下されば、幸であります。”
「幸い・・・・・ね。どう思います?宰。」
私は、メイドである宰に意見を求めた。
彼女には、よく意見を求める。
どんな些細な事でも、答えが出なければ、彼女に聞く。
宰は、信頼の出来る相手だから。
「・・・・・・旦那様に了承を得ているのでしたら、行ってみても宜しいかと思います。これも、勉強かと思います。」
「勉強・・・・・ね。人間を見る眼が養えるかしらね。」
「はい。」
宰が言うなら、行ってみても良いのかもしれない。
相手は、私を知らない。
そう、私の情報を手に入れたいならば、この屋敷にいる人物を説得しなければならないから。
「・・・・・・・行ってみようかしら。」
鳳鏡夜・・・・・候補者の名前。
貴方には、分からない。
姿を隠していれば、見つからないでしょう。
少し危険を冒すのも、良いでしょう。
「私、行くわ。万が一の為に、車は帰らせない様にしておいて。」
「分かりました。伝えておきましょう。」
「・・・・・・フフッ。楽しみだわ。」
私は、屋敷の庭を見つめる。
蜘蛛の巣にかかるのは・・・・どちらになるのか・・・。