知らなかった、君。























































知らない、あの子




























































まだ、出会って数カ月。



恋人になってからは、まだそんなに時間が経っていない。









彼女に出会ったのは、屋上で。







再会したのも、屋上だった。


















偶然だった。



本当に、偶然で・・・。




















彼女には、心に傷があった。



俺は、そんなの知らなくて・・・・初めは興味本意で近付いた。



事実を知った時、俺は怖くなった。



自分自身が、情けなくて、嫌いになった。



けど、彼女に生きてもらいたい。






















俺の為に。




























こんなの、自分勝手だと分かっている。



きっと、虐めていた人間と・・・・根本的な所は、同じだと。











































けど・・・・・。

















































死なないで。



本当に、死んでほしくない。



生きて。



何か、生きる為に理由が欲しいなら、俺がいくらでもなるから。



だから、生きてください。






































































、やっと来たの。」





「・・・・夜中に、呼び出すなんて・・・一体、何を考えているんですか?」





俺は、夜中にを、電話で呼び出した。



確かに、迷惑だと思うけれど。



眠っていたかもしれないけれど。



今、したかった。



否、今日じゃなければ、駄目だった。



どうしても、どんな事をしても、彼女に、今日会わなければならなかった。

























「それで、どんな用件ですか?」





「俺達、今日で一周年。」





「・・・・・・・・・あぁ。」

















































今まで、忘れていたのだろうか。



は、今思い出したかの様に、頷いた。



これって・・・・大事な事なんだけど。



俺としては、手帳に書いて欲しかったんですけど。


















「一周年が、どうしたんですか?」





「絶対に、忘れない一周年記念になるぜよ。」











































そう、君は予想していないかもしれない。










































































「結婚・・・して。」


































































俺は、一つの箱を取り出す。



中には、指輪が二つ。



大きめのと、小さめの指輪が、仲良く並んでいる。



俺は、まだ大学一年。



は、高校三年。



早過ぎると、真田達に言われた。



職を持ってからの方が・・・・・とも。



俺としては、全く問題無い。



その辺は、考えてある。
















































「俺と、夫婦になって下さい。」
























































は、何も言わなかった。



答えずに、俯いているだけだった。



どうしたのだろうか・・・・。





















・・・・?」



























俺は、心配になり顔を覗き込む。



は・・・・泣いていた。



沢山、涙を流していた。



































「う・・・れしい・・です・・・。」























































「私・・・・貴方と、結婚したい。」


























































笑ってくれた。



本当に、自然と浮かんだ笑顔。



良かった・・・・・。


















































俺が、呼び出した場所。



それは、教会。



こっそりと忍び込み、二人だけの結婚式を挙げる為。



と、結婚したかったから。



これは、前々から考えていた事。
































































は“有り難う”と言った。



俺に向かって、“感謝します”と言ったんだ。





























でも・・・・でもな、












































御礼を言うのは、俺の方。































「有り難な・・・・。」











































俺の為に、生きてくれると言ってくれた君。



そんな君に、感謝の言葉を。































































そして・・・・・。

































































「俺は、お前を幸せにしてみせる。」






















































誓うよ。



君に。



目の前で、見ているかもしれない神じゃなく。



に、誓う。

























幸せになろう_____。