「を捜す?」
記憶の。ナカ
「無駄よ。無意味よ。努力しただけ無駄になる。
見つからないし、見つけられない。どんな金持ちだろうと、どんなに凄い探偵だろうと。無駄なのよ。
は、見つからない。結論であり、分かり切った事。
仁王君、貴方がやろうとしているのは、全て無駄なのよ。無駄なものは、削除しなければならない。」
「じゃあ、黙って指くわえて、待ってろっていうんか?」
「ストレートに言うなら、”何もすんな”よ。」
きっつい言葉じゃのぅ。
黙って見とれっていうんか。辛いが、我慢しろってか。
そんなん・・・・無理。
俺、がいないと生きていけないし、生きたいとも思わん。
「やっても構わないけど、仁王君の家族も巻き添え。
会社は、潰れて・・・大変な思いをするだろうね。」
家族か・・・・・・。
今まで、を捜す事で頭が一杯で、家族の事なんて考えもしなかった。
確かに、家族になにかあったら、大変だ。
飯だって食えなくなる。俺のせいで。
なんて・・・・・歯痒いんだろうか。
結局俺は、を捜すのを断念しなければならないのだろうか。
「大丈夫よ。もう、の居場所は分かっているんだから、安心なさいよ。」
「ちょっと待て。じゃあ、は無事なんか?」
「当然よ、私を誰だと思っているの。捜すのは、簡単。
私の家族は、全員その辺に関しては、プロ級なんだから。嘗めないで欲しいわね。」
は、居場所を知っている。なら、何で言ってくれない?
俺に、教えてくれない。教えてくれたってえぇじゃろうに。
「仁王。あんたに教えたって、意味がないのよ。ないの。
分かる?零よ。零か百かと聞かれたら、”零”なの。だから、教えなかった。」
は、そう言い切った。
納得いかない。
”いなくなった”ということしか知らない俺と、”居場所まで、把握している”。
この差は、大きいと思う。確実に。
この日、は教えてくれなかった。の居場所を。
こんなの、不公平じゃ。
「・・・・・フン。教えたって無駄だっての。利益も何もないんだから。」